18 / 103
平和に暮らしていたのです、なのに隣国が攻め込んできたせいで……。~復讐を果たす日は必ず訪れるのです~
しおりを挟む
私たちは平和に暮らしていた。
なのにその穏やかな日々は突如破壊されてしまうこととなった。
隣国が攻め込んできたのだ。
彼らは我が国を蹂躙し、王女である私を誘拐――隣国の王子フィレットは「お前の反抗的なところが面白い」と言って私を強制的に愛人のような立場に置いた。
だが、それが物議を醸すこととなる。
「蹂躙してきた他国より持ち帰った女なんぞを愛人にするなんて! フィレット様、どうかしていますわ!」
「いいだろ何だって」
「このミレッタ、納得できませんっ」
不満を持った者の代表はフィレットの婚約者である女性ミレッタ。
美しい金髪と整った顔立ちを持つ、おとぎばなしに出てくるような女性である。
「あのような野蛮な女を……私、絶対に嫌です!」
「べつにいいだろ、何も彼女を妻とすると言っているわけじゃあない」
「ですが! 傍に置いておくだけだとしても、それでも、殿下の格が下がってしまう気がするのです!」
ミレッタは私を嫌っていた。
初めて顔を合わせた日に「くさ~い」と言われたほどだった。
彼女は明らかに、弱き国の王女であった私を見下していた。
それからもミレッタはやたらと私に接触して嫌がらせを重ねてくる。会うたび嫌がらせされる、なんて生温いものではない。その嫌がらせにはかなり熱がこもっていた。自ら私のところへやって来て嫌な思いをさせようとしてくるくらいであった。
――そんな日々の果てに。
「殿下、私はもう、貴方とは行けません。あのような野蛮人を傍に置いている殿下を理解できないのです」
「はぁ」
「よって! 婚約は破棄といたします!」
「ああ、そうか」
こうして思わぬ形でフィレットとミレッタの関係は壊れてしまった。
それによって、私への風当たりはより一層強まってしまう。
「あの野蛮人を殺すのだ!」
「弱小国の王女なんぞこの国には要らーん!!」
「消せ!」
「野蛮な王女は死すべし」
「そうでござる、この世から去るべきでござる」
私は多くの民などから死を望まれるようになってしまった――そんな中で、私は心を決めた。
私はもう誰にも必要とされていない。
私のことを欲してくれる者もいない。
でも、帰る場所なんてないのだ。
生まれ育ったあの国は、もう……とうになくなってしまった。
ならばせめて、私は、憎きこの国に罰を下そう。
この手で。
たとえ死刑になるとしても。
そう心を決めた日から一年ほどが経ったある晩、フィレットから呼びされて彼の自室へ行った際、私は作戦を決行することを決めた。
「――な」
隠し持っていた包丁でフィレットの首を斬る。
「ど、どう、して……」
フィレットは呆気なく死んだ。
抵抗することはなかった。
きっとこのようなことになると呼んではいなかったのだろう。
「復讐よ。……我が国を蹂躙した者を私は許さないわ」
フィレットだけのせいではない。
でもフィレットは王子だ、それゆえ、まったく罪がないかといえばそうとは言えない。
彼にも罪はある。
それは確かなこと。
「さようなら、殿下」
その日、私は、王城から飛び出した。
あそこにいたら殺される。
だから一応逃げ出したのだ。
ちなみに、逃げしなにたまたま出会ったので、ミレッタも刃で切り裂いて捨ててきた――彼女もきっともう助からないだろう――ただ死ぬだけ、そして、ただ地獄に堕ちるだけ。
私とてもう無罪ではない。それゆえ、いつかは捕まるかもしれない。でもそれでも構わない。覚悟はしている、だからこそ、私は罪を背負ってでも突き進める。
今はただ、残された日々を楽しもう。
もし捕まって処刑されたらそれはそれでいいと諦める。
けれどももし運良く逃げられたのなら、運命から与えられた時間だけでも自由に生を謳歌しよう。
どのみちもう何も持っていない私だ、怖さなど少しもない。
こうして、長い旅が始まったのだった――。
◆終わり◆
なのにその穏やかな日々は突如破壊されてしまうこととなった。
隣国が攻め込んできたのだ。
彼らは我が国を蹂躙し、王女である私を誘拐――隣国の王子フィレットは「お前の反抗的なところが面白い」と言って私を強制的に愛人のような立場に置いた。
だが、それが物議を醸すこととなる。
「蹂躙してきた他国より持ち帰った女なんぞを愛人にするなんて! フィレット様、どうかしていますわ!」
「いいだろ何だって」
「このミレッタ、納得できませんっ」
不満を持った者の代表はフィレットの婚約者である女性ミレッタ。
美しい金髪と整った顔立ちを持つ、おとぎばなしに出てくるような女性である。
「あのような野蛮な女を……私、絶対に嫌です!」
「べつにいいだろ、何も彼女を妻とすると言っているわけじゃあない」
「ですが! 傍に置いておくだけだとしても、それでも、殿下の格が下がってしまう気がするのです!」
ミレッタは私を嫌っていた。
初めて顔を合わせた日に「くさ~い」と言われたほどだった。
彼女は明らかに、弱き国の王女であった私を見下していた。
それからもミレッタはやたらと私に接触して嫌がらせを重ねてくる。会うたび嫌がらせされる、なんて生温いものではない。その嫌がらせにはかなり熱がこもっていた。自ら私のところへやって来て嫌な思いをさせようとしてくるくらいであった。
――そんな日々の果てに。
「殿下、私はもう、貴方とは行けません。あのような野蛮人を傍に置いている殿下を理解できないのです」
「はぁ」
「よって! 婚約は破棄といたします!」
「ああ、そうか」
こうして思わぬ形でフィレットとミレッタの関係は壊れてしまった。
それによって、私への風当たりはより一層強まってしまう。
「あの野蛮人を殺すのだ!」
「弱小国の王女なんぞこの国には要らーん!!」
「消せ!」
「野蛮な王女は死すべし」
「そうでござる、この世から去るべきでござる」
私は多くの民などから死を望まれるようになってしまった――そんな中で、私は心を決めた。
私はもう誰にも必要とされていない。
私のことを欲してくれる者もいない。
でも、帰る場所なんてないのだ。
生まれ育ったあの国は、もう……とうになくなってしまった。
ならばせめて、私は、憎きこの国に罰を下そう。
この手で。
たとえ死刑になるとしても。
そう心を決めた日から一年ほどが経ったある晩、フィレットから呼びされて彼の自室へ行った際、私は作戦を決行することを決めた。
「――な」
隠し持っていた包丁でフィレットの首を斬る。
「ど、どう、して……」
フィレットは呆気なく死んだ。
抵抗することはなかった。
きっとこのようなことになると呼んではいなかったのだろう。
「復讐よ。……我が国を蹂躙した者を私は許さないわ」
フィレットだけのせいではない。
でもフィレットは王子だ、それゆえ、まったく罪がないかといえばそうとは言えない。
彼にも罪はある。
それは確かなこと。
「さようなら、殿下」
その日、私は、王城から飛び出した。
あそこにいたら殺される。
だから一応逃げ出したのだ。
ちなみに、逃げしなにたまたま出会ったので、ミレッタも刃で切り裂いて捨ててきた――彼女もきっともう助からないだろう――ただ死ぬだけ、そして、ただ地獄に堕ちるだけ。
私とてもう無罪ではない。それゆえ、いつかは捕まるかもしれない。でもそれでも構わない。覚悟はしている、だからこそ、私は罪を背負ってでも突き進める。
今はただ、残された日々を楽しもう。
もし捕まって処刑されたらそれはそれでいいと諦める。
けれどももし運良く逃げられたのなら、運命から与えられた時間だけでも自由に生を謳歌しよう。
どのみちもう何も持っていない私だ、怖さなど少しもない。
こうして、長い旅が始まったのだった――。
◆終わり◆
0
あなたにおすすめの小説
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
殺されるのは御免なので、逃げました
まめきち
恋愛
クーデターを起こした雪豹の獣人のシアンに処刑されるのではないかと、元第三皇女のリディアーヌは知り、鷹の獣人ゼンの力を借り逃亡。
リディアーヌはてっきりシアンには嫌われていると思い込んでいたが、
実は小さい頃からリディアーヌ事が好きだったシアン。
そんな事ではリディアーヌ事を諦めるはずもなく。寸前のところでリディアーヌを掠め取られたシアンの追跡がはじまります。
【完結】離縁など、とんでもない?じゃあこれ食べてみて。
BBやっこ
恋愛
サリー・シュチュワートは良縁にめぐまれ、結婚した。婚家でも温かく迎えられ、幸せな生活を送ると思えたが。
何のこれ?「旦那様からの指示です」「奥様からこのメニューをこなすように、と。」「大旦那様が苦言を」
何なの?文句が多すぎる!けど慣れ様としたのよ…。でも。
【完結】婚約者なんて眼中にありません
らんか
恋愛
あー、気が抜ける。
婚約者とのお茶会なのにときめかない……
私は若いお子様には興味ないんだってば。
やだ、あの騎士団長様、素敵! 確か、お子さんはもう成人してるし、奥様が亡くなってからずっと、独り身だったような?
大人の哀愁が滲み出ているわぁ。
それに強くて守ってもらえそう。
男はやっぱり包容力よね!
私も守ってもらいたいわぁ!
これは、そんな事を考えているおじ様好きの婚約者と、その婚約者を何とか振り向かせたい王子が奮闘する物語……
短めのお話です。
サクッと、読み終えてしまえます。
【完結】婚約破棄されるはずが、婚約破棄してしまいました
チンアナゴ🐬
恋愛
「お前みたいなビッチとは結婚できない!!お前とは婚約を破棄する!!」
私の婚約者であるマドラー・アドリード様は、両家の家族全員が集まった部屋でそう叫びました。自分の横に令嬢を従えて。
私生児聖女は二束三文で売られた敵国で幸せになります!
近藤アリス
恋愛
私生児聖女のコルネリアは、敵国に二束三文で売られて嫁ぐことに。
「悪名高い国王のヴァルター様は私好みだし、みんな優しいし、ご飯美味しいし。あれ?この国最高ですわ!」
声を失った儚げ見た目のコルネリアが、勘違いされたり、幸せになったりする話。
※ざまぁはほんのり。安心のハッピーエンド設定です!
※「カクヨム」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる