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『ボロクソに言われ婚約破棄された日からちょうど一年、一つの出会いから私の人生は大きく変化してゆくのです――!』
ボロクソに言われ婚約破棄された日からちょうど一年が経った日、花が咲いた。
この花は、あの絶望の日に、婚約破棄された日に、家の前にぽつりと落ちていてそれを拾ったものだ。そしてそれを植木鉢に植えたのだ。そこから毎日のようにその植物を眺めていた。部屋の窓際に置いた植木鉢をそっと眺めるのが日々の唯一の癒しだったのである。
そしてそれがついに花開いたのが、今日。
朝、目を覚まして、ひっくり返りそうなくらい驚いた。
――開いたそれは虹色の花だったのだ。
「綺麗……」
思わず呟いてしまったのはそれだった。
絶望が去り、希望が降り注ぐ。
そんな未来を垣間見たような気がして。
嬉しくなっていたら。
「その花、とても綺麗ですね」
少しだけ開けていた窓の向こう側から男性の声。
「すみません急に」
「あ……い、いえ。綺麗と言っていただけ嬉しいです」
こうして訪れた細やかな出会いが私の人生を大きく変えてゆくのだということを、この時はまだ知らなかった――。
あ、そうそう、ちなみに。
かつて私のことを悪く言って捨てた彼だけれど、幸せは掴めなかったようだ。
なんでもあの後ちょっとした出来心から街中で軽めながら痴漢行為をしてしまったそうで、それによって命以外のすべてを失うこととなったそうだ。
◆終わり◆
『すっぴんを見て婚約破棄を告げてきた彼ですが、後に顔の傷によって捨てられることとなってしまったようです。』
婚約者クルテットにすっぴんを見られてしまった。
「お前、何なんだその顔」
「あ……」
油断した。
まさか彼が家に来ているとは思っていなかった。
だからこれからゆっくり化粧しようと思っていたのに。
「だっさいな」
彼は腐った野菜でも見てしまったかのような顔をしている。
「こ、これは……すっぴん、お化粧してない状態」
ひとまず素直に問いに答えるが。
「お前ってそんなぶさかったのか」
「酷くない!?」
返ってくるのは心ない言葉だけ。
「いや、そんな顔の女無理だわ」
「え」
「お前とやっていくのは無理だわ」
「そんな言い方って……」
「てことで、婚約は破棄な!」
さらりと告げられてしまう。
「じゃあな、永遠にバァ~イ」
クルテットは去っていった。
こんなことになってしまうなんて……。
確かに化粧前と化粧後では顔の状態は異なっている。でもだからってここまで言われる筋合いはないはずだ。私はあくまで綺麗に見せようと努力を重ねているだけなのに。
しかしその後、旅行に来ていた隣国の王子フィッシェールと遭遇した際一目惚れされ、彼に「妻として、我が国に来てほしい」とまで言われて――私はそれを受け入れ、結婚相手として彼のもとへ行くことにした。
そして結婚から数年が経った今、裕福な環境でのびのびと暮らせている。
そうそう、そういえば、だが。
クルテットはあの後不幸にも事故で顔に傷を負ってしまったそうだ。で、それを理由に当時婚約していた女性から心ない言葉をかけられたうえ婚約破棄を告げられてしまったそうで、それによって絶望し死のうとするもそれも未遂に終わり――と、終わりなき絶望の海に溺れることとなってしまっているようである。
理不尽に容姿を悪く言われる苦しみ、少しは理解できただろうか?
◆終わり◆
ボロクソに言われ婚約破棄された日からちょうど一年が経った日、花が咲いた。
この花は、あの絶望の日に、婚約破棄された日に、家の前にぽつりと落ちていてそれを拾ったものだ。そしてそれを植木鉢に植えたのだ。そこから毎日のようにその植物を眺めていた。部屋の窓際に置いた植木鉢をそっと眺めるのが日々の唯一の癒しだったのである。
そしてそれがついに花開いたのが、今日。
朝、目を覚まして、ひっくり返りそうなくらい驚いた。
――開いたそれは虹色の花だったのだ。
「綺麗……」
思わず呟いてしまったのはそれだった。
絶望が去り、希望が降り注ぐ。
そんな未来を垣間見たような気がして。
嬉しくなっていたら。
「その花、とても綺麗ですね」
少しだけ開けていた窓の向こう側から男性の声。
「すみません急に」
「あ……い、いえ。綺麗と言っていただけ嬉しいです」
こうして訪れた細やかな出会いが私の人生を大きく変えてゆくのだということを、この時はまだ知らなかった――。
あ、そうそう、ちなみに。
かつて私のことを悪く言って捨てた彼だけれど、幸せは掴めなかったようだ。
なんでもあの後ちょっとした出来心から街中で軽めながら痴漢行為をしてしまったそうで、それによって命以外のすべてを失うこととなったそうだ。
◆終わり◆
『すっぴんを見て婚約破棄を告げてきた彼ですが、後に顔の傷によって捨てられることとなってしまったようです。』
婚約者クルテットにすっぴんを見られてしまった。
「お前、何なんだその顔」
「あ……」
油断した。
まさか彼が家に来ているとは思っていなかった。
だからこれからゆっくり化粧しようと思っていたのに。
「だっさいな」
彼は腐った野菜でも見てしまったかのような顔をしている。
「こ、これは……すっぴん、お化粧してない状態」
ひとまず素直に問いに答えるが。
「お前ってそんなぶさかったのか」
「酷くない!?」
返ってくるのは心ない言葉だけ。
「いや、そんな顔の女無理だわ」
「え」
「お前とやっていくのは無理だわ」
「そんな言い方って……」
「てことで、婚約は破棄な!」
さらりと告げられてしまう。
「じゃあな、永遠にバァ~イ」
クルテットは去っていった。
こんなことになってしまうなんて……。
確かに化粧前と化粧後では顔の状態は異なっている。でもだからってここまで言われる筋合いはないはずだ。私はあくまで綺麗に見せようと努力を重ねているだけなのに。
しかしその後、旅行に来ていた隣国の王子フィッシェールと遭遇した際一目惚れされ、彼に「妻として、我が国に来てほしい」とまで言われて――私はそれを受け入れ、結婚相手として彼のもとへ行くことにした。
そして結婚から数年が経った今、裕福な環境でのびのびと暮らせている。
そうそう、そういえば、だが。
クルテットはあの後不幸にも事故で顔に傷を負ってしまったそうだ。で、それを理由に当時婚約していた女性から心ない言葉をかけられたうえ婚約破棄を告げられてしまったそうで、それによって絶望し死のうとするもそれも未遂に終わり――と、終わりなき絶望の海に溺れることとなってしまっているようである。
理不尽に容姿を悪く言われる苦しみ、少しは理解できただろうか?
◆終わり◆
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