異世界恋愛作品集 ～さくっと読める!? 大変なことやややこしいことがあっても乗り越えて幸せを掴みます～

ちょっぴりひとやすみ？ 詩のコーナー

『怖いものなんてもうないわ』

怖いものなんてもうないわ

一度貴方に捨てられ
婚約破棄までされて
心は傷つき壊れかけて
けれどももう
絶望から這い上がったのだもの
弱さなど捨てた
分かるでしょう
一度絶望した者は強い
その強さというのは
誰にも想像できないほどのものよ

怖いものなんてもうないわ

一度貴方に切られ
関係も叩き壊され
心は破壊され尽くした
そこには絶望しかなくて
けれどももう
闇から這い上がってきたのだもの
分かるでしょう
一度地獄を見た者は強い
その強さは天にも届く
誰も見られないほどなのよ

だから
今は貴方に感謝しているわ
その身勝手な行いが
私をここまで強くしたのだから
ありがとう
そう言ってやりましょう

ちょっぴり嫌みも込めて……ね？

怖いものなんてもうないわ



『あなたはいつだって曖昧な態度』

あなたはいつだって曖昧な態度

好きなの？
嫌いなの？

こちらがとことん迷ってしまうほど
あなたの振る舞いはいつだって曖昧だった

婚約していても
安心なんてできないの

大丈夫？
大丈夫？

毎日問いたくなるくらい
あなたの言動はよく分からなかった

傍にいても
愛していないのであれば
関係なんて無駄でしょう
極端な思考が巡り巡る

どこまでも愛していて
どこまでも想っているのに
呆れるほどに
あなたは冷めた目をしている
恐れるほどに
あなたはつまらなそうな顔をしている

そしてやがてたどり着く

点と点を繋いで描いた線
その果てに

その果てに在る終着地点に……

もう要らないの？
もう想ってはいないの？

わたし
あなたの傍にいても
無駄なのかしら
価値なんてないのかしら

あなたはいつだって曖昧な態度

好きなの？
嫌いなの？

こちらがとことん迷ってしまうほど
あなたの振る舞いはいつだって曖昧だった

でも今は違う

あなたは明確に――



『いつかまた　海を』

夏　風が吹いて　過去に想いを馳せる

あなたがいる
あなたの匂いがする
おかしなことよね
だってもう
あなたはここにはいないのに……

風のように去っていってしまったあなたのことを
今も時折思い出す
もうとうに過去に消えたはずなのに
わたしは今もあの頃を
呆れるほど鮮明に思い出せるのです

いつかまた　海を

願いはただひとつ
死ぬまでに一度だけでいい
あなたと海を見に行きたい
あの頃のように
幸せだった頃のように

願いはひとつだけ
この命が消える前に
一度だけあなたと海を見たい
あの頃のように
隣り合って
なんてことのない会話をしながら

夏　風が吹いて　切なさが駆け抜けてゆく

あなたがいる
あなたの残り香が
おかしなことね
だってもう
あなたはここには来ないのに……

それでも夢はみるものなのです

夏がまた来ました
あなたを追いかけていたい気分です
ずっと
ずっと
あの頃のように……

いつかまた　海を