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後編

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 ◆


 あれから数年、私は今、再び冒険者として毎日を過ごしている。

 この前は人を襲う知能が高い魔物の一種を多数倒したことで国から表彰された。
 皆から感謝されるというのは嬉しいことだ。

 ただ、最高権力者からの「うちの息子と結婚して守ってほしい」という頼みだけは断った。

 彼が拒否を認めてくれる優しい人で良かった。

 そうでなければ今ごろどうなっていたか分からない……あぁ権力とは恐ろしいものだ。

 だが冒険者の世界には理不尽な権力というものはない。当然階級のようなものはあるが、絶対的な上下関係はないのだ。この世界は実力が物を言う。だから私にとっては居心地が良い。

 私はこれからも冒険者として生きていくだろう。

 それが私の望む道。
 希望する人生。
 だからどのような結末が待っているとしても、決して悔やみはしない。

 ちなみにヴォルマはというと、私と婚約していた頃から密かに関係を持っていた女性と結婚したそうだが、宴を開き酒を大量に飲む生活のせいでか内臓を悪くしてしまい、それほど年をとっていないうちに内臓の病気で落命することとなってしまったそうだ。

 また、その時の妻であった女性は、ヴォルマの死のショックで自ら命を絶ってしまったらしい。


◆終わり◆
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