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後編

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「どうしてこんなところにいるんだ?」
「いえ、気にしないで……」
「ええっ。隠すなよ! 何なんだよ!」
「言いづらいことよ」
「えー、隠されたら気になるだろー」

 こうしてアイルトンと再会した私は、それからまた、彼と関わるようになっていった。

 かつての二人はもういない、お互い色々変わってしまった。けれど関係は完全に壊れてはおらず。一度関わり出すと、みるみるうちに距離が近づいていった。


 ◆


 あの婚約破棄から二年半、私は、アイルトンと結婚した。

「意外だわ、貴方とこんなことになるなんて……」
「俺も! 想像してなかった」
「でも、そういえば、昔……大樹の前で誓ったわね、結婚しよう、って」
「そういやそんなこともあったな」

 かつて仲良しだった私たちが結ばれるのに理由なんて要らなかった。

「ま、あの時の誓いが現実になったってこと? か?」
「そうね」
「嫌だった?」
「いえ、べつに、そういうことじゃないわ」
「だよな! 俺も!」
「何よそれ……変なの」

 こうして私は穏やかな幸福を手に入れられたのだが、一方プルテインストはというと幸せにはなれなかったようだ。

 というのも、愛していたあの女性の家柄に問題があったそうで、彼女と結婚することを親に強く反対されたそうなのだ。で、プルテインストは両親に反発し、喧嘩ばかりに。そんなある夜、女性を悪く言った父親に腹を立てて、彼はついに父親を殺してしまったそう。で、それによって殺人犯となってしまって。プルテインストは父殺しの罪で罪人になってしまい、その後処刑されたそうだ。

「これからまたよろしくね、アイルトン」
「ああ、もちろん!」


◆終わり◆
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