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婚約破棄ですか? 構いませんよ。どうぞ、厚化粧と仲良くなさってください。

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「君のようなろくに化粧もできない女を妻にするなど俺のプライドが許さん。よって! 婚約は破棄とする!」

 婚約者バーデンにわざとらしいくらい大きな声で宣言されてしまった。

 彼はどうやら化粧お化けが好きらしい。
 茶会で会う厚化粧な女性のことを美人美人と言っていつも褒めている。

「そうですか、分かりました。それでは私はこれで失礼します」


 ◆


 あれから五年、私は今、この国の王子の婚約者となっている。

「明日ついに夫婦になるんだね」
「えぇ、そうね」
「幸せになれるといいな……心からそう思うよ」
「きっと幸せな未来を作ってみせるわ」

 私たちはもうすぐ結ばれる。

 ちなみにバーデンはというと、あの後茶会で会う厚化粧の女性に結婚を申し込み受け入れてもらって、めでたく彼女と結婚したらしい。

 が、二人で迎える最初の夜。
 女性のすっぴんを見た瞬間、彼はその場で気絶したそうだ。

 また、その女性は実は、バーデンより二十五も年上だったらしい。

 べつに年上とか何とかはそれほど関係ないことだが……。

 その後バーデンは女性と離婚したそうだ。


◆終わり◆
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