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3話「一番の望みというと」

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 平和に暮らしたい。

 私の一番の望みというと、やはりこれな気がする。

 戦いは嫌いだ。虐めや嫌がらせも。城にいた時はそういうことが蔓延っていて、いつも心休まらなかった。それも運命と諦めていたけれど、でも、逃れられるならそういうものからは逃れたい。穏やかな世界で、のんびりと、心安らぐ時間を楽しみたい。

 そうだ、旅に出よう。

 今は翼がある。
 これがあれば自由に旅できる。

 その瞬間、私の心は決まった。


 ◆


 あれからどれほどか時が過ぎたが、私は今も旅を続けている。

 たくさんの国に行った。
 いろんなものを見た。

 いつかはどこかにとどまるのか、あるいは一ヶ所にとどまることはしないのか、そこはまだ決めていない。

 でも、何にしても、この翼は奇跡だ。

 これがなければ旅は成り立たなかった。
 つまりこれがすべてなのだ。

 そういえば最近風の噂で聞いたのだが、アレグリアはあの後父王と険悪になったそうだ。

 やはり、最初の揉め事の種は聖女、つまり私に関する件だったようだ。で、そのことで揉めているうちに二人の関係がどんどん悪化していって。アレグリアはついに刺客を使って父を殺めることを決心、雇った刺客で父王を殺害することに成功する。

 だが、アレグリアに協力した同僚の中に裏切り者がいたことで、アレグリアが首謀者であることがばれてしまって。

 結局、王座には次男が就くこととなったそうだ。

 アレグリアはというと、王子という肩書きをなかったことにされ、塔に監禁されたうえ罰として十年以上拷問のようなことをされ続けたらしい。


◆終わり◆
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