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このたび婚約破棄されてしまいまして。〜とりあえず実家に帰りますね〜

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「君との婚約は今日をもって破棄とする!」

 婚約者ガルベンタークはきっぱりと言った。

 そして、なぜか、理由は教えてくれなかった。

 一応質問はしたのだけれど。
 それでも教えてはくれなかったのだ。

 私は仕方なく婚約破棄を受け入れた。
 受け入れなければ怒られそうだったから。

 私はとりあえず実家に帰ることにした。


 ◆


 あの理由不明の婚約破棄から数年、私は親の知り合いの息子と結婚した。

 彼の実家は裕福で生活費に困るようなことはないが、彼は趣味の延長のような感じで帽子屋を営んでいる。
 そのため営業時間中はあまり会えない。

 しかしながら、帰宅すると、彼はいつも温かく接してくれる。

 だから寂しさはない。

 そういえば最近親族伝いに聞いたのだが、ガルベンタークはあの後夫婦喧嘩の最中にカッとなって妻を何度も殴ってしまったらしく、暴行罪で拘束されてしまったそうだ。

 また、それによって社会的地位を失い、人権も剥奪されてしまったらしい。


◆終わり◆
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