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2話

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「私はフェルナンド様の子を宿しているの」

 彼女は何の躊躇いもなくそんなことを言った。

 婚約者がいる男の子を宿した、だと? よくそんなことをいえたものだ。婚約しているでもない結婚しているでもない男とそんな関係になっていると証明しているようなものだが、恥ずかしくはないのか? 股が緩いと自慢しているようなものだが?

「……証拠はあるのですか?」
「信じたくないなら、フェルナンド様にも聞いてみるといいわ。そうすれば、事実だって分かるはずだから」
「はぁ……そうですか。分かりました。では一度話をしましょうか」
「それでもいいわよ」

 女性は勝ち誇ったような顔。
 顎を軽く持ち上げている。

「ただし、私と彼の両親にも立ち会っていただきます。もちろん、貴女にも」
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