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貴方を愛していた。誰よりも。強く、貴方を想っている……その自信があった。

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 貴方を愛していた。
 誰よりも。
 強く、貴方を想っている……その自信があった。

 なのに。

「悪いな! あんたとはやめるわ。婚約は破棄な! じゃ、ばいばい!」

 貴方は、私を手離した。

 話し合うことさえできず。
 相談する時間さえもなく。
 私たちの関係は終わりを迎えてしまった。

 お願いだから離さないで……そう思っていても、願うことに意味などなく、虚しさが募るだけ。

 どこで道を誤ってしまったのだろう? そう思う時、とてつもなく切なくなる。共に笑い合えるみらいがあったかもしれないと、そう思うからこそ、どこまでも辛いのだ。でも、それでも、つい癖のように繰り返し考えてしまう。何を間違えた? 何が二人の道を変えてしまった? そんな風に、今さら考えても意味のないことばかり考えてしまうのだ。

 それでも何も変わらない。
 現実は厳しく。
 抱いた夢など、抱いた幻など、所詮夢と幻でしかないのだ。

 愛など無駄だったのか……いや、きっと、それもいつかは私を支えてくれるだろう。

 悲しみ、苦しみ、すべて。
 礎となるはず。

 だから今は、難しくても、上を向こう。


◆終わり◆
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