1 / 2
前編
しおりを挟むとあるパーティーにて、私は恋に落ちた。
恋の幕開けはいつだって唐突だ。
けれどもそれは圧倒的なもの。
一度落ちてしまえばもう戻れない、一度芽生えた感情は決して消えはしない――それが恋というものである。
グリッセンド、彼に惚れた私だが、問題があった。それは、私に婚約者がいたことだ。エールという名の人物なのだが、婚約者がいるため、惚れた相手であるグリッセンドのところへ行くことはできない。私には恋の流れに乗ることが許される道などなかったのだ。
――だがその数日後奇跡が起きた。
「お前との婚約だが、破棄とすることにした」
エールがそんなことを言ってきたのである。
彼のことは元よりあまり好きではなかった。なぜって、たびたび高圧的な態度を取ってくる人だからである。一緒にいてもあまり楽しくない。
「俺はお前よりずっと愛おしいと思える人と巡り会ったんだ。だからお前との関係はここでおしまいにする。これは決定事項だ。だからお前に何を言われようとも変える気はない」
もしかしてこれはチャンス!? なんて思いつつ、話を聞く。
「そうですか」
「ん? 何だか嬉しげだな」
「そうでしょうか……」
「まぁいい。分かってもらえるのであればそれが一番ありがたい。話が早いに越したことはないからな」
こうして私は婚約破棄された。
しかしそれはある意味幸運であった。
なんせこれで自由になれるのだ。
「じゃ、永遠にばいばい」
「今までありがとうございました。……さようなら」
その後私はグリッセンドのところへ行って想いを伝えた。すると意外にも彼も私に興味を持ってくれていたようで。私とグリッセンドの関係はそこから一気に進展、婚約、そして結婚にまであっとう間に進んだ。
欲していたものは驚きの早さで手に入れることができた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
6
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる