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後編
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あれから数年。
私は王子からプロポーズされて結婚した。
というのも、あの一件以降仲良くなったのである。定期的に会うようになっていって、それで、気づけば想定していたよりも親しくなっていたのだ。
それでもプロポーズされたのにはかなり驚いたけれど……。
でも、今は彼と巡り会えたことに感謝している。
ありがとう、ペット。
ありがとう、運命。
ずっと冴えない人生だった。
華やかな世界に憧れていた頃もあって、でも、そんな人生は私には手に入らないものだと思っていた。
でも違った。
人生はいつ何が起きてどうなるかなんて分からない、そういうものだったようだ。
「見て! フェリーチ様よ! 未来の王妃!」
「ああ可愛らしい女性だわ」
「我が国に幸あれ! 王家最高! 王家万歳! バンザイバンザイ、バンザーッイ!」
こんな私でも皆から愛される女となれた。
それはとても嬉しいことだ。
きっとこれから先苦労もあるだろうけど、今はそれさえも怖いとは思わない。
……大丈夫、乗り越えてゆけるわ。
一方、元婚約者の彼はというと。
私を捨てた後、恋人と結婚しようと考えてノリノリでプロポーズするも「そこまでの関係になる気はなかった、ないわー」とさらりと言い返され拒否されてしまったそうだ。
それによって彼は絶望、またその場で失神して倒れ――それからというもの一切目を覚まさなくなってしまったらしい。
ただ、死んでしまったわけではないようで。
息はしているし心臓も確かに動いているのに意識だけは一向に戻らない、というような状態だったそう。
そうして眠り続けること数週間、彼はようやく目を覚ましたが、その時の彼は三歳児程度の知能になってしまっていたそうで。
簡単に言えば幼児退行してしまっていたのだ。
つまり、大人だった彼はもうこの世からいなくなってしまったのである。
◆終わり◆
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