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3話「話にならない」
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生まれ変わった私はまた女性。クレチネア・タンナーヴェという一般家庭の娘として誕生した。家の資産は前回よりかは少ない。貧しくはないけれど特別裕福というわけでもなく。ただ、今回は体調を崩す回数は前回よりかなり少ない健康な女となっていた。
「クレチネア! これ、洗濯してきてちょうだい!」
「はーい」
今の私は洗濯が大好きだ。
なのでこれを仕事にしたいと考えている。
「おや、クレちゃん。また洗濯しているのかい? いつも真面目だねぇ、お母さんのお手伝いをするなんて」
洗濯物を運んでいたら近所のおばあさんに声をかけられた。
「好きでやってるんです」
悪く思われることはさすがにはないかとは思うのだが。もし母が悪く思われてしまったら大変なので、一応はっきりと自分の意見を告げておいた。
「押し付けられているわけではないんですよ」
「そりゃあ、なおさら偉いねぇ」
「ありがとうございます!」
「まだ若いのにお手伝いをするなんて本当に立派だよ。尊敬の極みだね。これからもずっとそんな良い子でいてねぇ」
そんな私は二十歳になってすぐ自分の洗濯屋を開いた。
近所の人たちが多く来てくれた。
私の提供する洗濯サービスはそこそこ好評だった。
「いつも頼んでごめんなぁ」
「いえいえ」
「ほんっと綺麗になるからさ、助かってるんだ。うちの嫁、急に体調崩すこと多くってさ。そういう時、ほんと助かるんだよな」
「お力になれているなら嬉しいです」
「また頼むわ! よろしくな! じゃあ今日はこれで。またな」
そんな中で知り合った一人の青年ラヴェヴェに想いを告げられて。最初は仕事のこともあるから断っていたのだけれど。何度も会いに来てくれる彼の熱さにやがて心揺さぶられて。こちらの心も徐々に変わり。
――そしてやがて婚約した。
「クレチネアさん、貴女と共に生きられるなんて嬉しすぎます!」
「私も似た気持ちよ」
「俺のこと好きになってもらえたら……嬉しいな」
「もちろん。ラヴェヴェのこと好きよ。これからより一層絆を深めていきましょう」
きっとまたややこしいことに巻き込まれるのだろうな、と思いつつも、ずっと一人でいるのも何なので彼と共に歩むことを決めたのだった。
……だが二人の時は突如終わりを告げた。
ラヴェヴェがある夜突然魔物に襲われて落命してしまったのだ。
「クレチネア・タンナーヴェ! あんたのせいよ! あんたが来たから、可愛い息子が死んだの! あんた呪われてるのよ!」
息子の死を受け入れられなかったラヴェヴェの母は、私という存在を憎み、凄まじい勢いで責めてきた。
「落ち着いてください」
「そういう問題じゃない! そんなこと、あんたには言う権利がない! 全部あんたのせいよ! 息子が傷ついたのはあんたが現れたから! そうでしょう!? あんたさえ現れなければ息子はずっと健康だったのに! あんたさえ、あんたさえいなければ、息子は今も……!!」
「お辛いのは分かります、でも、どうか、今は一旦冷静になってください」
「うるさい! うるさいうるさいうるさい! 黙りなさいよ! あんたは死神! せめて謝りなさいよ! あたしから可愛い息子を奪ったんでしょ!?」
鬼のような形相で怒鳴りつけてくる。
大量の唾が飛んでいた。
「違います」
「いいえ違わない! あたしの言葉だけが正しいの! そう! すべて! そういうことなのよ! あたしの言葉がすべて! あたしの思うことがすべて! そういうこと! それだけが絶対的なの!」
「……会話になっていません」
「あんたのせいであたしは可愛い息子を失った! ラヴェヴェが死ぬはずなかったのに! あんたのせい! あんたのせいよ! あんたが死神だったから! そのせいでラヴェヴェはこの世を……う、っ、うう、うううう……全部あんたのせいだわ! そうよ! そうなのよ! あんたのせいですべてが壊れた!」
彼女は明らかに正気を失ってしまっている。
「ショックなのは分かりますけど」
「返して! あたしの息子! 可愛い息子を! 早く返して! 返して返して返して返して返して! 返しなさいよ! 今すぐ返してちょうだい! 早く!」
「私を責めても何の意味もありません……」
「返しなさいよ! ラヴェヴェを! 早く返してちょうだい! あたしの息子はあたしのものなのよ! そうでしょ!? 息子なんだから、そうでしょう!? ねえ! どうなのよ! そうでしょう!?」
「当たる相手を間違っています」
「うるさい! うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい! 黙ってちょうだい! 黙って! 口ごたえをするな、罪深い女! 呪われた女! クレチネア・タンナーヴェ、絶対に許さない……あたしからあの可愛い坊やを奪ったあんたを、あたしは、死んでも許さない! 許さないのよ! 許すものですか! 許さないわ、絶対、一生、死んでも……クレチネア・タンナーヴェ!」
「クレチネア! これ、洗濯してきてちょうだい!」
「はーい」
今の私は洗濯が大好きだ。
なのでこれを仕事にしたいと考えている。
「おや、クレちゃん。また洗濯しているのかい? いつも真面目だねぇ、お母さんのお手伝いをするなんて」
洗濯物を運んでいたら近所のおばあさんに声をかけられた。
「好きでやってるんです」
悪く思われることはさすがにはないかとは思うのだが。もし母が悪く思われてしまったら大変なので、一応はっきりと自分の意見を告げておいた。
「押し付けられているわけではないんですよ」
「そりゃあ、なおさら偉いねぇ」
「ありがとうございます!」
「まだ若いのにお手伝いをするなんて本当に立派だよ。尊敬の極みだね。これからもずっとそんな良い子でいてねぇ」
そんな私は二十歳になってすぐ自分の洗濯屋を開いた。
近所の人たちが多く来てくれた。
私の提供する洗濯サービスはそこそこ好評だった。
「いつも頼んでごめんなぁ」
「いえいえ」
「ほんっと綺麗になるからさ、助かってるんだ。うちの嫁、急に体調崩すこと多くってさ。そういう時、ほんと助かるんだよな」
「お力になれているなら嬉しいです」
「また頼むわ! よろしくな! じゃあ今日はこれで。またな」
そんな中で知り合った一人の青年ラヴェヴェに想いを告げられて。最初は仕事のこともあるから断っていたのだけれど。何度も会いに来てくれる彼の熱さにやがて心揺さぶられて。こちらの心も徐々に変わり。
――そしてやがて婚約した。
「クレチネアさん、貴女と共に生きられるなんて嬉しすぎます!」
「私も似た気持ちよ」
「俺のこと好きになってもらえたら……嬉しいな」
「もちろん。ラヴェヴェのこと好きよ。これからより一層絆を深めていきましょう」
きっとまたややこしいことに巻き込まれるのだろうな、と思いつつも、ずっと一人でいるのも何なので彼と共に歩むことを決めたのだった。
……だが二人の時は突如終わりを告げた。
ラヴェヴェがある夜突然魔物に襲われて落命してしまったのだ。
「クレチネア・タンナーヴェ! あんたのせいよ! あんたが来たから、可愛い息子が死んだの! あんた呪われてるのよ!」
息子の死を受け入れられなかったラヴェヴェの母は、私という存在を憎み、凄まじい勢いで責めてきた。
「落ち着いてください」
「そういう問題じゃない! そんなこと、あんたには言う権利がない! 全部あんたのせいよ! 息子が傷ついたのはあんたが現れたから! そうでしょう!? あんたさえ現れなければ息子はずっと健康だったのに! あんたさえ、あんたさえいなければ、息子は今も……!!」
「お辛いのは分かります、でも、どうか、今は一旦冷静になってください」
「うるさい! うるさいうるさいうるさい! 黙りなさいよ! あんたは死神! せめて謝りなさいよ! あたしから可愛い息子を奪ったんでしょ!?」
鬼のような形相で怒鳴りつけてくる。
大量の唾が飛んでいた。
「違います」
「いいえ違わない! あたしの言葉だけが正しいの! そう! すべて! そういうことなのよ! あたしの言葉がすべて! あたしの思うことがすべて! そういうこと! それだけが絶対的なの!」
「……会話になっていません」
「あんたのせいであたしは可愛い息子を失った! ラヴェヴェが死ぬはずなかったのに! あんたのせい! あんたのせいよ! あんたが死神だったから! そのせいでラヴェヴェはこの世を……う、っ、うう、うううう……全部あんたのせいだわ! そうよ! そうなのよ! あんたのせいですべてが壊れた!」
彼女は明らかに正気を失ってしまっている。
「ショックなのは分かりますけど」
「返して! あたしの息子! 可愛い息子を! 早く返して! 返して返して返して返して返して! 返しなさいよ! 今すぐ返してちょうだい! 早く!」
「私を責めても何の意味もありません……」
「返しなさいよ! ラヴェヴェを! 早く返してちょうだい! あたしの息子はあたしのものなのよ! そうでしょ!? 息子なんだから、そうでしょう!? ねえ! どうなのよ! そうでしょう!?」
「当たる相手を間違っています」
「うるさい! うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい! 黙ってちょうだい! 黙って! 口ごたえをするな、罪深い女! 呪われた女! クレチネア・タンナーヴェ、絶対に許さない……あたしからあの可愛い坊やを奪ったあんたを、あたしは、死んでも許さない! 許さないのよ! 許すものですか! 許さないわ、絶対、一生、死んでも……クレチネア・タンナーヴェ!」
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