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18話「ほかのどんなものより尊いもの」
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ベガウディとマリィは怒る民らの目の前で処刑された。
それによって民に広がったのは安堵。
彼ら彼女らは皆私のことを思ってくれていたしだからこそ真剣に怒ってくれていたので、悪しき二人に罰が下ればすぐに穏やかな心を取り戻した。
「リリネさまー! 暗い顔なさらないでくださいー! わたしたちがついてるからー!」
「そうですわ! 皆、偉大なるリリネさまを愛していますもの! リリネさまのためなら何だってできますわ!」
「ずっと寄り添ってるよーっ」
「この国に生まれてきてくれてありがとう!!」
リリネ・アンチテールは恵まれていた。
資産ある家に生まれたとか、両親が理解ある者たちだったとか、そういうこともあるにはあるのだけれどただそれだけではなくて――何よりも、多くの人たちに温かく見守られ愛されていたのだ。
それはお金では買えない大変貴重な資産。
ほかのどんなものよりも尊いものである。
「リリネさまーっ、こっちを見てくださいーっ」
「愛してる!」
「尊敬していますぞ!」
「これからもこの国にずっとずっといらっしゃってください!」
「好きよおおおおおお!!」
「貴いお顔を拝見したいですぅ! もっともっと! どうかお願いしますぅ!」
こうしてベガウディとマリィという厄介な者たちから解放された私リリネは、一年半ほど経った後に魔族の高貴な家柄の殿方と婚約し結婚。二度目の関係は順調そのもので。浮気されることはなく、揉めることもなく、穏やかな幸福のただなかでその人と結ばれることができたのだった。
ただ、そんなリリネは、結婚後五年ほどが経った頃に流行り病によってこの世を去ることとなった。
◆
次なる人生は、一般家庭の娘ローゼリアスであった。
平凡な家に生まれたローゼリアス。茶色い髪とアーモンドのような形をしたそれなりに整った目。そこそこ可愛らしいが平凡さの残る容姿を持ったローゼリアスは、普通の娘だというのに、生まれながらにして莫大な量の魔力をその身に宿していた。
だがそれを明るみに出してしまえば貰い手がなくなってしまう。
なのでローゼリアスは大いなる魔力を持っていることを両親以外のすべての人に対して隠していた。
「おはよ! ローゼ」
「あ、おはようございます。ナインスさん」
そんな私の婚約者となったのは五つ年上の青年ナインス。
実家の花屋を手伝っている明るく爽やかな人物だ。
「ナインスさんは水かけですか?」
「うん! そうなんだ」
「朝から大変そうですね……お手伝いしましょうか?」
「いやいや、そんなことさせられないよ」
「遠慮は不要です」
「いいよいいよ! 大丈夫! でも、気持ちは嬉しいよ。ありがとうね」
「いえ……」
ナインスは私の魔力のことを知らない。
本当のことを知ればきっと彼は離れていってしまうだろう。
いつも温かく接してくれる彼を失いたくない。
そんな悲劇は絶対に避けたい。
なんとしても。
だから生涯隠し続けるつもりでいた、のだが……。
それによって民に広がったのは安堵。
彼ら彼女らは皆私のことを思ってくれていたしだからこそ真剣に怒ってくれていたので、悪しき二人に罰が下ればすぐに穏やかな心を取り戻した。
「リリネさまー! 暗い顔なさらないでくださいー! わたしたちがついてるからー!」
「そうですわ! 皆、偉大なるリリネさまを愛していますもの! リリネさまのためなら何だってできますわ!」
「ずっと寄り添ってるよーっ」
「この国に生まれてきてくれてありがとう!!」
リリネ・アンチテールは恵まれていた。
資産ある家に生まれたとか、両親が理解ある者たちだったとか、そういうこともあるにはあるのだけれどただそれだけではなくて――何よりも、多くの人たちに温かく見守られ愛されていたのだ。
それはお金では買えない大変貴重な資産。
ほかのどんなものよりも尊いものである。
「リリネさまーっ、こっちを見てくださいーっ」
「愛してる!」
「尊敬していますぞ!」
「これからもこの国にずっとずっといらっしゃってください!」
「好きよおおおおおお!!」
「貴いお顔を拝見したいですぅ! もっともっと! どうかお願いしますぅ!」
こうしてベガウディとマリィという厄介な者たちから解放された私リリネは、一年半ほど経った後に魔族の高貴な家柄の殿方と婚約し結婚。二度目の関係は順調そのもので。浮気されることはなく、揉めることもなく、穏やかな幸福のただなかでその人と結ばれることができたのだった。
ただ、そんなリリネは、結婚後五年ほどが経った頃に流行り病によってこの世を去ることとなった。
◆
次なる人生は、一般家庭の娘ローゼリアスであった。
平凡な家に生まれたローゼリアス。茶色い髪とアーモンドのような形をしたそれなりに整った目。そこそこ可愛らしいが平凡さの残る容姿を持ったローゼリアスは、普通の娘だというのに、生まれながらにして莫大な量の魔力をその身に宿していた。
だがそれを明るみに出してしまえば貰い手がなくなってしまう。
なのでローゼリアスは大いなる魔力を持っていることを両親以外のすべての人に対して隠していた。
「おはよ! ローゼ」
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「うん! そうなんだ」
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「いやいや、そんなことさせられないよ」
「遠慮は不要です」
「いいよいいよ! 大丈夫! でも、気持ちは嬉しいよ。ありがとうね」
「いえ……」
ナインスは私の魔力のことを知らない。
本当のことを知ればきっと彼は離れていってしまうだろう。
いつも温かく接してくれる彼を失いたくない。
そんな悲劇は絶対に避けたい。
なんとしても。
だから生涯隠し続けるつもりでいた、のだが……。
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