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後編

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 そんなある日、彼はついに告げてくる――。

「お前との婚約は破棄とする!」

 それも、嫌み満載な言い方で。

「お前はあれだけ言っても薬への興味を失わない。だからこうするしかないと思った。女には教養や知識は要らない!! だからお前のような女とは縁を切る!!」

 こうして私たちの関係は終わりを迎えたのだった。

 その後私は少しばかり暇になったので、父に相談し、薬草などに関しての研究ができる学校へと入学。そこで学びをさらに深める道を選ぶことにした。なぜならそれが一番やってみたいことだったからだ。

 ――そして、卒業後、私は研究者への道を歩み出すこととなった。

 一方オーバンドルはというと、その頃には既に亡くなっていたようだ。

 彼は私との婚約を破棄してから一年も経たない時期に何人もいた恋人のような女性のうちの誰かから不治とされる病気を貰ってしまい、それによって落命することとなったようなのである。

 死の直前、彼はかなり苦しんでいたようだが、症状を緩和するための薬利用を拒否し続けていたとか――その凄まじい熱量には少し尊敬すらする。

 死ぬくらいなら薬の力に頼れば良かったのに、とは思ったけれど。

 ただ、彼にとっては、ある意味で薬の使用イコール敗北だったのかもしれない。もしそうだったとしたら、苦しんででも薬の利用を拒否するというのも少しは想像できる。


◆終わり◆
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みんなの感想(1件)

vv0maru0vv
2023.02.24 vv0maru0vv

なんてこと(´・ω・`)
婚約者の薬の知識を馬鹿にするからこうなる。

四季
2023.02.24 四季

読んでくださりありがとうございます!m(_ _)m

本当に、その通りだと思います……。

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