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前編

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 騎士になることが夢だった。

 でも駄目だと言われた。
 両親には理解されなかった。

 女の子がすることじゃない――そう言って、両親は、私が何度も読んでいた騎士の物語の本さえも奪い取った。

 そうしてある程度の年になると、私は、親が連れてきた男性と婚約することに。私の人生は私が選ぶ、そうであったほしかったけれど、それすらも難しく。道は決まっていて。ただ敷かれたその道を行くしかない、そんな状態で。

 だが婚約者オレスは私を嫌っているようだった。

「お前といると楽しくねーんだよ」

 初めて一緒に過ごした日も、それだけ、一言しか言葉を貰えなかったほど。

 それほどに私は嫌われていた。


 ◆


 だが、少し経ったある日、もってこいな機会がやって来た。

「お前との婚約、破棄するわ」

 そう、彼が、自ら関係を終わらせると言ってきたのだ。
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