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初めて出会ったのは、ある春の夕暮れ。
暗くなり始めた空。まだ温もりが戻りきらない時間帯。何をするでもなく丘の上で佇んでいた私に、偶然やって来た貴方が声をかけた。
それがすべての始まり。
私と貴方には共通点があった。いつかこの世界から離れたい、ただそれだけのこと。それでも、互いの心の奥にあるものが同じであると気づいた時、ほんの少しだけ分かり合えそうな気がした。
「ここへはよくいらっしゃるのですか?」
「はい」
私たちは見知らぬ人に過ぎない。
けれども、いずれ分かり合えるような気がして、静かな時を共に過ごすことを受け入れる。
「ここにいたらいつか、神様が救いに来てくれる気がするんです」
「神様?」
私の発言に貴方は少しばかり戸惑ったような顔をする。私がいきなり『神様』なんて言い出したからかもしれない。彼には馴染みのない言葉だったのだろう。無論、私とて『神様』に会ったことがあるわけではないのだけれど。
「その神様は、すべての人を救ってくださるのでしょうか?」
彼は丘の向こう側へ視線を向けながらそんなことを言った。
「……貴方に救いは必要ないと思います。だって、救いというのは、死のことですから」
そう述べると、彼は少しだけ驚いたような顔をした。が、すぐにそれまでのような静かな顔つきに戻り、僅かに目を伏せる。彼の宝玉のような青みを帯びた瞳が捉えるのは、何もない地面のみ。
「近く戦場へ行くのです。それが嫌で、逃げ出したいのですが、それもできず」
彼は前を向かない。
ただ足下だけをじっと見つめている。
「貴方は必要とされているではないですか」
生まれて今まで私は必要とされてこなかった。親がいて、家庭もあって、資産もないわけではなくて。恵まれていたのかもしれない。それでも、一番欲しかったものだけは手に入れることはできず。親からも、婚約者となった人からも、誰からも愛されることはなかった。
その私からすれば、居場所があるだけ幸せだろうと思ってしまう。
彼には彼の苦悩がある。それは分かっているはずなのに。それでも、どうしても、同じにされたくないと思ってしまって。貴方の方がずっと幸せなのよ、と、突き放したい衝動に駆られて。
暗くなり始めた空。まだ温もりが戻りきらない時間帯。何をするでもなく丘の上で佇んでいた私に、偶然やって来た貴方が声をかけた。
それがすべての始まり。
私と貴方には共通点があった。いつかこの世界から離れたい、ただそれだけのこと。それでも、互いの心の奥にあるものが同じであると気づいた時、ほんの少しだけ分かり合えそうな気がした。
「ここへはよくいらっしゃるのですか?」
「はい」
私たちは見知らぬ人に過ぎない。
けれども、いずれ分かり合えるような気がして、静かな時を共に過ごすことを受け入れる。
「ここにいたらいつか、神様が救いに来てくれる気がするんです」
「神様?」
私の発言に貴方は少しばかり戸惑ったような顔をする。私がいきなり『神様』なんて言い出したからかもしれない。彼には馴染みのない言葉だったのだろう。無論、私とて『神様』に会ったことがあるわけではないのだけれど。
「その神様は、すべての人を救ってくださるのでしょうか?」
彼は丘の向こう側へ視線を向けながらそんなことを言った。
「……貴方に救いは必要ないと思います。だって、救いというのは、死のことですから」
そう述べると、彼は少しだけ驚いたような顔をした。が、すぐにそれまでのような静かな顔つきに戻り、僅かに目を伏せる。彼の宝玉のような青みを帯びた瞳が捉えるのは、何もない地面のみ。
「近く戦場へ行くのです。それが嫌で、逃げ出したいのですが、それもできず」
彼は前を向かない。
ただ足下だけをじっと見つめている。
「貴方は必要とされているではないですか」
生まれて今まで私は必要とされてこなかった。親がいて、家庭もあって、資産もないわけではなくて。恵まれていたのかもしれない。それでも、一番欲しかったものだけは手に入れることはできず。親からも、婚約者となった人からも、誰からも愛されることはなかった。
その私からすれば、居場所があるだけ幸せだろうと思ってしまう。
彼には彼の苦悩がある。それは分かっているはずなのに。それでも、どうしても、同じにされたくないと思ってしまって。貴方の方がずっと幸せなのよ、と、突き放したい衝動に駆られて。
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