117 / 209
116話「決意の時」
しおりを挟む
ウィクトルは言葉を失った。
目を見開いたまま、時が止まったかのように、こちらを凝視している。
彼のすぐ近くにいるリベルテは、本を開き、時折迫り来る敵を弾き返してくれているようだ。彼の炎の術は優秀で、人を近づけない。それに加え、今は、少し敵の出現率が下がってきつつある。侵入できた人数の加減だろうから、油断はできないが。
「ごめんなさいウィクトル。こんなことを言うつもりはなかったの。でも、戦うことが貴方を幸せにしないのなら……私は言うわ。もう止めるべきだと」
こんなことを言うつもりはなかった。それは事実だ。ウィクトルが戦いを生業としていることはとうに知っていたことだし、それを悪く思っていたわけでもない。否、今でも、悪く思ってはいない。
けれど、剣を振る彼は辛そうだったから。
そんな彼を放ってはおけなかったのだ。
戦い、勝利を収め、皇帝から褒められる。それは栄誉なことかもしれないが、そのために苦しむのなら、本当にそれが良いことなのだろうか。そう思ってしまう私が、心の中からどうしても消えなくて。
「……ウタ、くん」
「望まないことを続ける必要なんて、あるわけないのよ。貴方だって人なのだから」
私は静かに言葉を紡いでいく。ウィクトルの顔色だけを窺いながら。
彼とて、何も思わずにこんなことをしているわけではないのだろう。思うところがないのならば、悲しそうな顔をしたりはしないはず。これまでの言動や顔つきから考えれば、彼を説得できる可能性は皆無ではない。
もし、血に濡れた道から彼を連れ出せるなら。
「ウィクトル」
そんな時だった、イヴァンが重々しく口を開いたのは。
ウィクトルは素早く振り返る。そして、山のようなイヴァンがいる方向へと目をやった。獣に警戒した小動物のような目で。
「その女は、正義のために戦う者を惑わせようとする魔女だ。殺せ」
「なっ……」
「歌は素晴らしい。それは認めておる。じゃが、それであっても、正しき者を悪しき方へと引き込もうとする者を見過ごすわけにはいかぬ」
イヴァンの物言いは柔らかく、それほど殺伐とはしていない。が、表情は固く、私はそこから「冗談ではない」と察した。
いざという時には躊躇なく切り捨てる。イヴァンにそういう部分があることは、想像し難いことではなかった。帝国を率いてきた男だ、当然、いざという時の強さは持っているだろう。時には素早く決断する。それは、指導者には必要な才の一種だから。
とはいえ、こうも早く切り替えてくるとは。
ものの数分で「殺せ」にまで至るとは、さすがに予想外だ。
「待って下さい。彼女は少し混乱しているだけです。それで、そんなことを」
「殺せ」
「戦うべきは彼女ではありません……!」
「構わぬ、仕留めよ」
ウィクトルはイヴァンを説得しようとするが、説得の言葉は滑るばかり。イヴァンの耳には一切届かない。既に決断しているイヴァンには、ウィクトルの意見を聞く気など微塵もないのだろう。
「その剣であらば、小娘など一撃のはず。一分もかかるまい。すぐに息の根を止めるのじゃ」
「しかし……」
「我が命令を聞けぬか!!」
突如イヴァンが声を荒くした。
男性たちと共に酒を楽しんでいた女性たちは、荒々しい皇帝を目にし、大きな衝撃を受けたような顔をしている。隣の男性に抱き付いて怖がる者もいたほどだ。
「キエル皇帝に忠義を誓った身ではないのか!」
「…………」
「フリントを捨て、キエルにつく! そう決意したというあの言葉は、偽りか!!」
「……偽りでは、ありません」
黙り込んでいたウィクトルは、ようやく声を発した。
だが、日頃の彼の声とはまったくの別物。死にかけの蚊が鳴くような、弱々しい声だ。
「ならば、魔女の命を絶て。その程度、容易かろう。……それとも何じゃ、情でも湧いたか」
イヴァンは私を殺すよう急かす。急かされたウィクトルは、暗い顔。表情を見る感じ、すぐに殺しにかかってきそうにはない。とはいえ、ウィクトルが私を殺さないと決まったわけではない。それゆえ、私の中の緊迫感は消えなかった。
長い沈黙の果て、ウィクトルはレイピアの先をこちらへ向けた。
照明を浴び輝く刃は既にところどころ赤黒く染まっている。だがそれでも、強い光を浴びれば刃部分は煌めく。細いからこそ、鋭く煌めくのだ。
「残念だわ、貴方は結局そちらを選ぶのね」
ウィクトルは私に剣を突き付けている。それは確かな事実だ。
でも、それが彼の本心による行動だとは、とても思えない。ウィクトルが私に攻撃を仕掛けようとするなんて、そんなこと、あるわけがない。起こり得るとは考えられない。
「貴方が皇帝を選び、血濡れの道を行くのなら、今ここで私を殺せばいい。好きにすればいいわ」
細い銀の先端がこちらへ向けられていることに変わりはない。
ただ、ウィクトルはそこで動きを止めてしまっている。
彼ならば、殺ろうと思えばすぐに動くはず。戦いに関して素人の私が相手なら、一撃で胸を貫くことだって可能なはずだ。
なのにそれをしないというのは……。
「ウィクトル、何をしている。素早く仕留めよ。それによってキエルへの忠義を証明するのだ」
イヴァンはまたしても急かすような発言をする。
だがウィクトルはまだ動き出さない。
彼はその黄色い瞳で、私をじっと見つめていた。胸を貫くほどの視線を彼は送ってきている。彼にここまで凝視されたのは初めてかもしれない、と感じるほどだ。
思えば、これまで、こうして向き合ったことはなかった。私と彼が敵同士になる場面なんて存在しなかったから、こうして対峙することなんて一度もありはしなかったのだ。だから、味方同士としてではなく見つめ合うのは、これが初めて。
ウィクトルという男の恐ろしさを、私は今、初めて感じている。
凝視され、武器を向けられると、息苦しいほどの凄まじい圧を体感せずにはいられない。
「でも……貴方は私を殺さない。そう信じているし、確信しているわ。今まで貴方は何度か私を殺そうとしたけれど、貴方は一度も私を殺せなかった。……今も同じこと」
状況は悪い。それでも希望を捨てたくない。彼が私を殺めるなんて、そんな酷なことは起こらないと、少しでも可能性があるなら信じたい。
諦めてしまうことは簡単だが、諦めてしまえばその先に明るい未来は生まれない。
だから、何とかここで踏みとどまりたかった。
「来るなら来なさい。選ぶのは……ウィクトル、貴方自身よ」
直後、ウィクトルの足が動いた。
レイピアを突き出したまま迫ってくる。
私の期待は儚く崩れた。彼は皇帝を選び、私を殺すことを選んだのか。信じられないが、武器を手に迫ってきているということは、そういうことなのだろう。素人が彼の剣から逃れることはできない。
もはやここまでか。
瞼を強く閉じる。
知り合いでも何でもない人に殺されるくらいなら、ウィクトルに殺される方がまし。でも、痛いのや苦しいのは嫌。せめて、ひと突きで終わらせてくれれば……。
「……え」
予想していた痛みは訪れず、代わりに人の手の感触。
恐る恐る瞼を開くと、ウィクトルの面がすぐ近くまで迫っていた。
「逃げよう」
「え?」
「私に君は殺せない」
次の瞬間、ウィクトルはレイピアを鞘に収める。そして、私の体を肩の上まで抱え上げた。
「じっとしていてくれ」
「え、えぇ……」
ウィクトルは私を肩の上に抱えたまま、何の前触れもなく入り口に向かって走り出す。さすがのイヴァンも即座には反応できない。周囲が呆気にとられているうちに、広間を出た。
目を見開いたまま、時が止まったかのように、こちらを凝視している。
彼のすぐ近くにいるリベルテは、本を開き、時折迫り来る敵を弾き返してくれているようだ。彼の炎の術は優秀で、人を近づけない。それに加え、今は、少し敵の出現率が下がってきつつある。侵入できた人数の加減だろうから、油断はできないが。
「ごめんなさいウィクトル。こんなことを言うつもりはなかったの。でも、戦うことが貴方を幸せにしないのなら……私は言うわ。もう止めるべきだと」
こんなことを言うつもりはなかった。それは事実だ。ウィクトルが戦いを生業としていることはとうに知っていたことだし、それを悪く思っていたわけでもない。否、今でも、悪く思ってはいない。
けれど、剣を振る彼は辛そうだったから。
そんな彼を放ってはおけなかったのだ。
戦い、勝利を収め、皇帝から褒められる。それは栄誉なことかもしれないが、そのために苦しむのなら、本当にそれが良いことなのだろうか。そう思ってしまう私が、心の中からどうしても消えなくて。
「……ウタ、くん」
「望まないことを続ける必要なんて、あるわけないのよ。貴方だって人なのだから」
私は静かに言葉を紡いでいく。ウィクトルの顔色だけを窺いながら。
彼とて、何も思わずにこんなことをしているわけではないのだろう。思うところがないのならば、悲しそうな顔をしたりはしないはず。これまでの言動や顔つきから考えれば、彼を説得できる可能性は皆無ではない。
もし、血に濡れた道から彼を連れ出せるなら。
「ウィクトル」
そんな時だった、イヴァンが重々しく口を開いたのは。
ウィクトルは素早く振り返る。そして、山のようなイヴァンがいる方向へと目をやった。獣に警戒した小動物のような目で。
「その女は、正義のために戦う者を惑わせようとする魔女だ。殺せ」
「なっ……」
「歌は素晴らしい。それは認めておる。じゃが、それであっても、正しき者を悪しき方へと引き込もうとする者を見過ごすわけにはいかぬ」
イヴァンの物言いは柔らかく、それほど殺伐とはしていない。が、表情は固く、私はそこから「冗談ではない」と察した。
いざという時には躊躇なく切り捨てる。イヴァンにそういう部分があることは、想像し難いことではなかった。帝国を率いてきた男だ、当然、いざという時の強さは持っているだろう。時には素早く決断する。それは、指導者には必要な才の一種だから。
とはいえ、こうも早く切り替えてくるとは。
ものの数分で「殺せ」にまで至るとは、さすがに予想外だ。
「待って下さい。彼女は少し混乱しているだけです。それで、そんなことを」
「殺せ」
「戦うべきは彼女ではありません……!」
「構わぬ、仕留めよ」
ウィクトルはイヴァンを説得しようとするが、説得の言葉は滑るばかり。イヴァンの耳には一切届かない。既に決断しているイヴァンには、ウィクトルの意見を聞く気など微塵もないのだろう。
「その剣であらば、小娘など一撃のはず。一分もかかるまい。すぐに息の根を止めるのじゃ」
「しかし……」
「我が命令を聞けぬか!!」
突如イヴァンが声を荒くした。
男性たちと共に酒を楽しんでいた女性たちは、荒々しい皇帝を目にし、大きな衝撃を受けたような顔をしている。隣の男性に抱き付いて怖がる者もいたほどだ。
「キエル皇帝に忠義を誓った身ではないのか!」
「…………」
「フリントを捨て、キエルにつく! そう決意したというあの言葉は、偽りか!!」
「……偽りでは、ありません」
黙り込んでいたウィクトルは、ようやく声を発した。
だが、日頃の彼の声とはまったくの別物。死にかけの蚊が鳴くような、弱々しい声だ。
「ならば、魔女の命を絶て。その程度、容易かろう。……それとも何じゃ、情でも湧いたか」
イヴァンは私を殺すよう急かす。急かされたウィクトルは、暗い顔。表情を見る感じ、すぐに殺しにかかってきそうにはない。とはいえ、ウィクトルが私を殺さないと決まったわけではない。それゆえ、私の中の緊迫感は消えなかった。
長い沈黙の果て、ウィクトルはレイピアの先をこちらへ向けた。
照明を浴び輝く刃は既にところどころ赤黒く染まっている。だがそれでも、強い光を浴びれば刃部分は煌めく。細いからこそ、鋭く煌めくのだ。
「残念だわ、貴方は結局そちらを選ぶのね」
ウィクトルは私に剣を突き付けている。それは確かな事実だ。
でも、それが彼の本心による行動だとは、とても思えない。ウィクトルが私に攻撃を仕掛けようとするなんて、そんなこと、あるわけがない。起こり得るとは考えられない。
「貴方が皇帝を選び、血濡れの道を行くのなら、今ここで私を殺せばいい。好きにすればいいわ」
細い銀の先端がこちらへ向けられていることに変わりはない。
ただ、ウィクトルはそこで動きを止めてしまっている。
彼ならば、殺ろうと思えばすぐに動くはず。戦いに関して素人の私が相手なら、一撃で胸を貫くことだって可能なはずだ。
なのにそれをしないというのは……。
「ウィクトル、何をしている。素早く仕留めよ。それによってキエルへの忠義を証明するのだ」
イヴァンはまたしても急かすような発言をする。
だがウィクトルはまだ動き出さない。
彼はその黄色い瞳で、私をじっと見つめていた。胸を貫くほどの視線を彼は送ってきている。彼にここまで凝視されたのは初めてかもしれない、と感じるほどだ。
思えば、これまで、こうして向き合ったことはなかった。私と彼が敵同士になる場面なんて存在しなかったから、こうして対峙することなんて一度もありはしなかったのだ。だから、味方同士としてではなく見つめ合うのは、これが初めて。
ウィクトルという男の恐ろしさを、私は今、初めて感じている。
凝視され、武器を向けられると、息苦しいほどの凄まじい圧を体感せずにはいられない。
「でも……貴方は私を殺さない。そう信じているし、確信しているわ。今まで貴方は何度か私を殺そうとしたけれど、貴方は一度も私を殺せなかった。……今も同じこと」
状況は悪い。それでも希望を捨てたくない。彼が私を殺めるなんて、そんな酷なことは起こらないと、少しでも可能性があるなら信じたい。
諦めてしまうことは簡単だが、諦めてしまえばその先に明るい未来は生まれない。
だから、何とかここで踏みとどまりたかった。
「来るなら来なさい。選ぶのは……ウィクトル、貴方自身よ」
直後、ウィクトルの足が動いた。
レイピアを突き出したまま迫ってくる。
私の期待は儚く崩れた。彼は皇帝を選び、私を殺すことを選んだのか。信じられないが、武器を手に迫ってきているということは、そういうことなのだろう。素人が彼の剣から逃れることはできない。
もはやここまでか。
瞼を強く閉じる。
知り合いでも何でもない人に殺されるくらいなら、ウィクトルに殺される方がまし。でも、痛いのや苦しいのは嫌。せめて、ひと突きで終わらせてくれれば……。
「……え」
予想していた痛みは訪れず、代わりに人の手の感触。
恐る恐る瞼を開くと、ウィクトルの面がすぐ近くまで迫っていた。
「逃げよう」
「え?」
「私に君は殺せない」
次の瞬間、ウィクトルはレイピアを鞘に収める。そして、私の体を肩の上まで抱え上げた。
「じっとしていてくれ」
「え、えぇ……」
ウィクトルは私を肩の上に抱えたまま、何の前触れもなく入り口に向かって走り出す。さすがのイヴァンも即座には反応できない。周囲が呆気にとられているうちに、広間を出た。
0
あなたにおすすめの小説
ギルド回収人は勇者をも背負う ~ボロ雑巾のようになった冒険者をおんぶしたら惚れられた~
水無月礼人
恋愛
私は冒険者ギルド職員ロックウィーナ。25歳の女で担当は回収役。冒険者の落し物、遺品、時には冒険者自体をも背負います!
素敵な恋愛に憧れているのに培われるのは筋肉だけ。
しかし無駄に顔が良い先輩と出動した先で、行き倒れた美形剣士を背負ってから私の人生は一変。初のモテ期が到来です!!
……とか思ってウハウハしていたら何やら不穏な空気。ええ!?
私の選択次第で世界がループして崩壊の危機!? そんな結末は認めない!!!!
※【エブリスタ】でも公開しています。
【エブリスタ小説大賞2023 講談社 女性コミック9誌合同マンガ原作賞】で優秀作品に選ばれました。
異世界の花嫁?お断りします。
momo6
恋愛
三十路を過ぎたOL 椿(つばき)は帰宅後、地震に見舞われる。気付いたら異世界にいた。
そこで出逢った王子に求婚を申し込まれましたけど、
知らない人と結婚なんてお断りです。
貞操の危機を感じ、逃げ出した先に居たのは妖精王ですって?
甘ったるい愛を囁いてもダメです。
異世界に来たなら、この世界を楽しむのが先です!!
恋愛よりも衣食住。これが大事です!
お金が無くては生活出来ません!働いて稼いで、美味しい物を食べるんです(๑>◡<๑)
・・・えっ?全部ある?
働かなくてもいい?
ーーー惑わされません!甘い誘惑には罠が付き物です!
*****
目に止めていただき、ありがとうございます(〃ω〃)
未熟な所もありますが 楽しんで頂けたから幸いです。
サトシ先生は美しき十代の乙女に手を出さない
白神ブナ
恋愛
高校一年一学期から三年三学期まで続く長編です。気になるサブタイトルを見つけて途中からでもお楽しみいただけます。
女子校あるあると、先生あるある、受験あるあるを描く学園恋愛ドラマ。
佐藤サトシは30歳の独身高校教師。
一度は公立高校の教師だったが心が折れて転職し、私立白金女子学園にやって来た。
一年A組の受け持つことになったサトシ先生。
その中の一人、桜井美柑はガチでサトシ先生に恋してしまった。
サトシ先生は、桜井美柑という生徒の存在を意識してしまいつつ、あくまで職務に忠実であろうと必死に適度な距離を保とうとするが……
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
貴方だけが私に優しくしてくれた
バンブー竹田
恋愛
人質として隣国の皇帝に嫁がされた王女フィリアは宮殿の端っこの部屋をあてがわれ、お飾りの側妃として空虚な日々をやり過ごすことになった。
そんなフィリアを気遣い、優しくしてくれたのは年下の少年騎士アベルだけだった。
いつの間にかアベルに想いを寄せるようになっていくフィリア。
しかし、ある時、皇帝とアベルの会話を漏れ聞いたフィリアはアベルの優しさの裏の真実を知ってしまってーーー
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
猫になった悪女 ~元夫が溺愛してくるなんて想定外~
黒猫子猫
恋愛
ディアナは欲深く、夫にも結婚を強いた悪女として知られた女王だ。当然のように人々から嫌われ、夫婦仲は悪く、病に倒れた時も誰も哀しまなかった。ディアナは、それで良かった。余命宣告を受け、自分の幸せを追い求める事などとうに止めた。祖国のためにできる事は全てやった。思うままに生きたから、人生をやり直せると言われても、人間などまっぴらごめんだ。
そして、《猫》になった。日向でのんびりと寝ている姿が羨ましかったからだ。いざ、自堕落な生活をしようと思ったら、元夫に拾われてしまった。しかも、自分が死んで、解放されたはずの彼の様子が妙だ。
あなた、隙あらば撫でようとするの、止めてくれる? 私達は白い結婚だったでしょう。
あなた、再婚する気がないの? 「お前を愛したりしない」って嬉しい事を言ってくれたのは誰よ!
猫になった孤高の女王×妻を失って初めて色々気づいてしまった王配の恋のお話。
※全30話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる