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125話「アナシエアの裁き」
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睡眠は突如断たれた。
物音は聞こえはこないが、漂う空気がどことなく固く冷たくなっている気がする。
アナシエアがいてくれることは心強い。だが、これからどのようなことが起こるのだろうと考えると、息が詰まりそうになる。
もう戦いは起きてほしくない。
ラブブラブブラブラ族は、ウィクトルとイヴァンの間の問題とは何の関わりもないはず。だから、巻き込むようなことになるのだけは避けたい。
「アナシエアさん」
「何ですか? ウタ」
「その……私たちはここにいて問題ないのでしょうか」
もし、私たちが村に害を与える存在となるならば。
穏やかに受け入れ、匿ってくれている人たちに、迷惑をかけることとなってしまうとしたら。
「問題ありませんよ。追い出す気はありません」
そう述べるアナシエアは優しい息遣いをしていた。
ちなみに、ウィクトルはまだ眠っている。
「……ありがとうございます」
少し俯き、小さな声で礼を言う。
その声は宙に消えた。
どのくらい経っただろう。部屋には時計がなく、そのため、正確な時刻は不明。だが、起こしてもらってから既に三十分は経過しているような気がする。
そんな頃、鳥のくちばしのようなものがついた面を着用した者が二人、やって来た。
「侵入者、捕獲、した! ここへ、連れて、きますか!?」
「捕獲! 捕獲!」
二人はアナシエアに報告するためやって来たみたいだ。
「侵入者は何人ですか」
「捕獲、した! 一人、だけ!」
「……分かりました。ここへ連れてきなさい」
アナシエアは、私に対しては穏やかで優しい。聖母のような微笑みを浮かべているかのような声で話してくれることが多い。だが、鳥のくちばしのようなものがついた面を着用している者たちに対しては、凛とした調子で言葉を発している。
「ウタ、侵入者が知り合いかどうかだけ確認して下さい」
「……最初から、それが目的で?」
「いえ。それは違います。あくまで『ついで』です」
ほんの僅かに声が冷たさを帯びた気がした。
アナシエアは、包み込むような優しさを持っているが、こういうところもあるから不思議だ。
「そうなんですね。分かりました」
「はい……」
それにしても。
帝国の者である侵入者と顔を合わせるなんて、問題はないのだろうか。
ウィクトルは帝国から抜けてきた身。その侵入者に「ウィクトルがここにいる」とバレれば、さらなる嵐を呼ぶこととなるのではないだろうか。そう考えると、少し不安がある。
やがて、鳥のような面をつけた二人に連れられてきたのは、見覚えのある顔だった。
「リベルテ……!?」
両腕を掴まれ身を拘束されているが、間違いない。
リベルテだ。
「ウタ様!」
「貴方、どうしてここに……」
私たちは落とし穴に落ちたからこの村へたどり着いた。それはつまり、普通の経路からここへ入り込むのは難しいということ。そのはずだ。でも、だとしたら、リベルテはどこからここへ侵入したというのか。もしかしたら、落とし穴とは別の入り口があるのかもしれないけれど。でも、入り込むのは簡単ではなかったはずで。
私に気づいたリベルテはこちらに向かって駆け出そうと体を動かす。が、腕をしっかりと掴んでいる両脇の二人がリベルテの勝手な行動を許すはずもなくて。リベルテは結局、その場から動けなかった。
「動くな! 帝国の、犬!」
リベルテの右側に立っている身長一六○センチ程度と思われる男が、リベルテに向けて棘のある声を話す。
「失礼ですね! 帝国の奴隷ではありません!」
下僕扱いされたことに腹を立てたのか、リベルテは彼らしくない鋭い調子で言葉を返す。
「だが、所属、帝国と言った! それが、真実なら、嘘を、ついたのか!」
「所属が帝国であることは嘘ではありません。しかし、帝国に隷属するだけの愚か者と扱われるのは、それはそれで心外です」
リベルテは凛々しかった。身柄を拘束されていても、躊躇いなく物を言い、堂々としていた。
「話を聞きましょう」
やや騒がしくなっていたのを鎮めるように、アナシエアが口を開く。
片手を胸の前に出しながら。
「まずは名乗りなさい」
「……リベルテと申します」
「なぜこの場所へ侵入したのです。目的は何なのですか」
「リベルテは……主を探しに来ただけでございます」
よく見ると、リベルテの体にはいくつもの傷があった。
顔は土で汚れており、衣服のところどころは切られ赤く滲んでいる。
「主の目撃情報を得て、この場所に目星をつけました。そうして、リベルテはここにたどり着いたのでございます」
「なぜ確信したのですか。主人がここにいる、と」
「最初のやり取りで確信しました。主について尋ねた時、明らかに反応がおかしかったからでございます」
もしかしたらイヴァンの命令で来たのかもしれない、と思ってしまっている部分もあったのだが、どうやらそうではなかったようだ。リベルテはリベルテ自身の意思でウィクトルを探しに来たようである。
それならば、リベルテは危険人物ではないと言えるだろう。
彼なら私たちの居場所をイヴァンに教えたりはしないはず。
ウィクトルはリベルテのことを気にしていた。リベルテがここへ来たと知ったら、ウィクトルはきっと喜ぶだろう。また会えた、と。
「アナシエアさん、彼は酷い人ではありません。どうか、その拘束を解いて——」
「リベルテ。貴方の目的に悪意はなくとも、この村に侵入した罪は重いですよ。覚悟していただかねばなりません」
……無視された?
「それは、その……もちろんです。勝手に入り込むなど、申し訳ないことをしたと考えております」
その頃になって、ようやく、いつものリベルテらしい雰囲気になってきた。
だが、アナシエアは逆に、別人のようになりつつある。
とにかく厳しい。すべてが冷たい。
「罪には罰が必要。そういうものなのです。それは分かっていますね」
「……はい」
「よろしい。では、もう二度と勝手なことができぬよう、我が力をもって罰しましょう」
アナシエアは手にしていた杖の先端部をリベルテの喉元に当てがう。
「散りなさい」
刹那、嫌なものが背筋に駆け巡る。
私の体は咄嗟に動いていた。
無意識のうちにアナシエアに体当たりしていたのだ。
杖の先端から放たれた謎の緑色の光は、喉元から少し横にずれ、リベルテの右肩を貫く。
「ぐっ……!」
リベルテは苦痛に汚れた顔を歪めた。菜種油色の髪が、爆風に煽られて激しく乱れる。
刹那、私はアナシエアに杖で殴られた。
「え……」
「いきなり体当たりとは。貴女、万死に値しますよ」
アナシエアは私に怒っているみたいだった。
でも、それも無理はない。いきなり体当たりしたのだから。
けれども、私は体当たりして良かったと思っている。というのも、あのまま動かなかったら、リベルテの首が飛んでいたから。それでなくとも、光線を食らった彼の肩は、衣服は燃え尽き皮膚も焼けるという悲惨なことになっているのだ。そんな凄まじい威力の光線を喉に受けていたら、きっと命すら危なかったことだろう。
「ごめんなさい……。でも私、リベルテを放ってはおけなくて」
「罪人ですよ」
「でも彼は……私が帝国にいた頃、とても良くしてくれた人です。悪さなんてちっともなくて……とても優しい、思いやりのある人でした……」
アナシエアから見れば、リベルテはただの侵入者なのだろう。
でも、私からすればそうではない。
「だから、殺さないで下さい……」
届かないかもしれない。聞き入れてもらえる可能性は限りなく低い。それでも私は、リベルテの命を救うために頭を下げる。誰かが目の前で死ぬなんてことは、もう経験したくない。
「……そうですか」
長い沈黙の後、私を静かに見下ろしていたアナシエアがゆっくりと唇を動かし始めた。
「……分かりました。では、命までは取らないでおきましょう。ただし……罪を軽減するのは今回のみ。次はありませんよ」
きっと聞き入れてもらえないだろう、と諦めていたけれど、どうやら少しは私の訴えにも意味があったようだ。
「牢へ連れて行きなさい」
「承知、しました! すぐに、牢へ、連れて行き、ます!」
リベルテは両腕を拘束されたまま、どこかへ引っ張られていく。彼は体が辛いのか乱れた呼吸をしていたが、そんなことはお構いなし。強制的に歩かされる。
その後、アナシエアはくるりと振り返ってきた。
「ウタ。覚えておいて下さい。次からはこのような特例は認めない、と」
「は、はい。本当にありがとうございます……」
リベルテは牢へ連れて行かれるようだったが、どんな環境のところに入れられるのだろう。牢へは行ったことがないから、そこがどのような場所なのかがはっきりしない。そこがどうしても少し引っかかる。また、手当てはきちんとしてもらえるのか。そこも気になるところだ。
でも、今は幸運だったと思おう。
殺されなかった——それだけでも運が良かったのだから。
物音は聞こえはこないが、漂う空気がどことなく固く冷たくなっている気がする。
アナシエアがいてくれることは心強い。だが、これからどのようなことが起こるのだろうと考えると、息が詰まりそうになる。
もう戦いは起きてほしくない。
ラブブラブブラブラ族は、ウィクトルとイヴァンの間の問題とは何の関わりもないはず。だから、巻き込むようなことになるのだけは避けたい。
「アナシエアさん」
「何ですか? ウタ」
「その……私たちはここにいて問題ないのでしょうか」
もし、私たちが村に害を与える存在となるならば。
穏やかに受け入れ、匿ってくれている人たちに、迷惑をかけることとなってしまうとしたら。
「問題ありませんよ。追い出す気はありません」
そう述べるアナシエアは優しい息遣いをしていた。
ちなみに、ウィクトルはまだ眠っている。
「……ありがとうございます」
少し俯き、小さな声で礼を言う。
その声は宙に消えた。
どのくらい経っただろう。部屋には時計がなく、そのため、正確な時刻は不明。だが、起こしてもらってから既に三十分は経過しているような気がする。
そんな頃、鳥のくちばしのようなものがついた面を着用した者が二人、やって来た。
「侵入者、捕獲、した! ここへ、連れて、きますか!?」
「捕獲! 捕獲!」
二人はアナシエアに報告するためやって来たみたいだ。
「侵入者は何人ですか」
「捕獲、した! 一人、だけ!」
「……分かりました。ここへ連れてきなさい」
アナシエアは、私に対しては穏やかで優しい。聖母のような微笑みを浮かべているかのような声で話してくれることが多い。だが、鳥のくちばしのようなものがついた面を着用している者たちに対しては、凛とした調子で言葉を発している。
「ウタ、侵入者が知り合いかどうかだけ確認して下さい」
「……最初から、それが目的で?」
「いえ。それは違います。あくまで『ついで』です」
ほんの僅かに声が冷たさを帯びた気がした。
アナシエアは、包み込むような優しさを持っているが、こういうところもあるから不思議だ。
「そうなんですね。分かりました」
「はい……」
それにしても。
帝国の者である侵入者と顔を合わせるなんて、問題はないのだろうか。
ウィクトルは帝国から抜けてきた身。その侵入者に「ウィクトルがここにいる」とバレれば、さらなる嵐を呼ぶこととなるのではないだろうか。そう考えると、少し不安がある。
やがて、鳥のような面をつけた二人に連れられてきたのは、見覚えのある顔だった。
「リベルテ……!?」
両腕を掴まれ身を拘束されているが、間違いない。
リベルテだ。
「ウタ様!」
「貴方、どうしてここに……」
私たちは落とし穴に落ちたからこの村へたどり着いた。それはつまり、普通の経路からここへ入り込むのは難しいということ。そのはずだ。でも、だとしたら、リベルテはどこからここへ侵入したというのか。もしかしたら、落とし穴とは別の入り口があるのかもしれないけれど。でも、入り込むのは簡単ではなかったはずで。
私に気づいたリベルテはこちらに向かって駆け出そうと体を動かす。が、腕をしっかりと掴んでいる両脇の二人がリベルテの勝手な行動を許すはずもなくて。リベルテは結局、その場から動けなかった。
「動くな! 帝国の、犬!」
リベルテの右側に立っている身長一六○センチ程度と思われる男が、リベルテに向けて棘のある声を話す。
「失礼ですね! 帝国の奴隷ではありません!」
下僕扱いされたことに腹を立てたのか、リベルテは彼らしくない鋭い調子で言葉を返す。
「だが、所属、帝国と言った! それが、真実なら、嘘を、ついたのか!」
「所属が帝国であることは嘘ではありません。しかし、帝国に隷属するだけの愚か者と扱われるのは、それはそれで心外です」
リベルテは凛々しかった。身柄を拘束されていても、躊躇いなく物を言い、堂々としていた。
「話を聞きましょう」
やや騒がしくなっていたのを鎮めるように、アナシエアが口を開く。
片手を胸の前に出しながら。
「まずは名乗りなさい」
「……リベルテと申します」
「なぜこの場所へ侵入したのです。目的は何なのですか」
「リベルテは……主を探しに来ただけでございます」
よく見ると、リベルテの体にはいくつもの傷があった。
顔は土で汚れており、衣服のところどころは切られ赤く滲んでいる。
「主の目撃情報を得て、この場所に目星をつけました。そうして、リベルテはここにたどり着いたのでございます」
「なぜ確信したのですか。主人がここにいる、と」
「最初のやり取りで確信しました。主について尋ねた時、明らかに反応がおかしかったからでございます」
もしかしたらイヴァンの命令で来たのかもしれない、と思ってしまっている部分もあったのだが、どうやらそうではなかったようだ。リベルテはリベルテ自身の意思でウィクトルを探しに来たようである。
それならば、リベルテは危険人物ではないと言えるだろう。
彼なら私たちの居場所をイヴァンに教えたりはしないはず。
ウィクトルはリベルテのことを気にしていた。リベルテがここへ来たと知ったら、ウィクトルはきっと喜ぶだろう。また会えた、と。
「アナシエアさん、彼は酷い人ではありません。どうか、その拘束を解いて——」
「リベルテ。貴方の目的に悪意はなくとも、この村に侵入した罪は重いですよ。覚悟していただかねばなりません」
……無視された?
「それは、その……もちろんです。勝手に入り込むなど、申し訳ないことをしたと考えております」
その頃になって、ようやく、いつものリベルテらしい雰囲気になってきた。
だが、アナシエアは逆に、別人のようになりつつある。
とにかく厳しい。すべてが冷たい。
「罪には罰が必要。そういうものなのです。それは分かっていますね」
「……はい」
「よろしい。では、もう二度と勝手なことができぬよう、我が力をもって罰しましょう」
アナシエアは手にしていた杖の先端部をリベルテの喉元に当てがう。
「散りなさい」
刹那、嫌なものが背筋に駆け巡る。
私の体は咄嗟に動いていた。
無意識のうちにアナシエアに体当たりしていたのだ。
杖の先端から放たれた謎の緑色の光は、喉元から少し横にずれ、リベルテの右肩を貫く。
「ぐっ……!」
リベルテは苦痛に汚れた顔を歪めた。菜種油色の髪が、爆風に煽られて激しく乱れる。
刹那、私はアナシエアに杖で殴られた。
「え……」
「いきなり体当たりとは。貴女、万死に値しますよ」
アナシエアは私に怒っているみたいだった。
でも、それも無理はない。いきなり体当たりしたのだから。
けれども、私は体当たりして良かったと思っている。というのも、あのまま動かなかったら、リベルテの首が飛んでいたから。それでなくとも、光線を食らった彼の肩は、衣服は燃え尽き皮膚も焼けるという悲惨なことになっているのだ。そんな凄まじい威力の光線を喉に受けていたら、きっと命すら危なかったことだろう。
「ごめんなさい……。でも私、リベルテを放ってはおけなくて」
「罪人ですよ」
「でも彼は……私が帝国にいた頃、とても良くしてくれた人です。悪さなんてちっともなくて……とても優しい、思いやりのある人でした……」
アナシエアから見れば、リベルテはただの侵入者なのだろう。
でも、私からすればそうではない。
「だから、殺さないで下さい……」
届かないかもしれない。聞き入れてもらえる可能性は限りなく低い。それでも私は、リベルテの命を救うために頭を下げる。誰かが目の前で死ぬなんてことは、もう経験したくない。
「……そうですか」
長い沈黙の後、私を静かに見下ろしていたアナシエアがゆっくりと唇を動かし始めた。
「……分かりました。では、命までは取らないでおきましょう。ただし……罪を軽減するのは今回のみ。次はありませんよ」
きっと聞き入れてもらえないだろう、と諦めていたけれど、どうやら少しは私の訴えにも意味があったようだ。
「牢へ連れて行きなさい」
「承知、しました! すぐに、牢へ、連れて行き、ます!」
リベルテは両腕を拘束されたまま、どこかへ引っ張られていく。彼は体が辛いのか乱れた呼吸をしていたが、そんなことはお構いなし。強制的に歩かされる。
その後、アナシエアはくるりと振り返ってきた。
「ウタ。覚えておいて下さい。次からはこのような特例は認めない、と」
「は、はい。本当にありがとうございます……」
リベルテは牢へ連れて行かれるようだったが、どんな環境のところに入れられるのだろう。牢へは行ったことがないから、そこがどのような場所なのかがはっきりしない。そこがどうしても少し引っかかる。また、手当てはきちんとしてもらえるのか。そこも気になるところだ。
でも、今は幸運だったと思おう。
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