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後編
しおりを挟むあの時は離れるしかなかった。
でも本当は一緒にいたかったのだ。
もっと遊んでいたかった。
「生きて、って、何それ!? 生きてるよ、ふつーに暮らしてたよ!?」
「良かった……また会えて」
彼はあの頃と変わらない。
大きくはなっても。
その瞳の綺麗さは同じ。
「大丈夫?」
「私、婚約破棄されたの。だから自由なの」
「婚約破棄!? 嘘でしょ」
「本当。貴方はもう結婚しているのよね?」
「してない」
「どうして!?」
「どうして、って……そりゃまぁ、仕事が忙しくて……」
私は想いを伝えることにした。
「貴方のことがずっと気になっていたの――できれば、だけど、一緒に生きてくれない?」
彼は顔を真っ赤にして建物の陰に隠れてしまった。
けれど。
「……もちろん」
小さくそう答えた。
幼馴染みと結ばれた私は、結婚から数年が経った今も、穏やかに暮らせている。
ちなみにリフレインはというと。あの後結婚詐欺に引っかかってしまったそうで。お金を失ったうえ心を病んでしまったそうだ。そして、女性を信じられなくなり、家から出るのも嫌になり。今では実家の自室から一歩も出られないような状態だそうだ。もちろん、結婚なんて無理である。
◆終わり◆
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