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婚約破棄ならお好きにどうぞ! 〜私は魚が好きなのです〜

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 その日は突然やって来た。

「お前みたいな魚のことしか考えていない不気味なやつとはやっていけない。よって、婚約は本日をもって破棄とする」

 突然婚約破棄されてしまった私は、説得することは諦め、素早く彼の前から去ることにした。

 正直私にとって彼は大きな存在ではない。なんとなく婚約することになってしまっただけだ。だから、彼を失っても、怖さはない。無関係になったって構わない。彼と生きるために魚愛を捨てる、というのは、考えられないのだ。

 その後私は実家へ帰り、魚の世話をする日々を再開した。

 魚を育てられる時間はとても幸せ。もちろん苦労だってあるけれど、それでも、そこには言葉にできないくらいの幸福がある。

 私は魚が好き。
 それはいつまでも変わらない。

 そういえばこれは最近親から聞いた話なのだが。
 元婚約者の彼は、あの後結婚はしたものの不倫を繰り返してしまい、慰謝料をもぎ取られたうえ離婚されることとなってしまったそうだ。


◆終わり◆
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