私は今、愛されている。~美貌を手に入れた途端周囲の接し方が変わりました~

四季

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前編

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 私は生まれつき不細工だった。

 豚みたいな鼻が特徴的な顔立ちで。
 それゆれ誰からも大事にされず育ってきた。

 しかも、最愛の人であった婚約者フォーカスからでさえ。

「お前の顔を見てるのもう無理だわ、婚約は破棄な」

 そんなことを言われてしまって。

「なーにあれ。何なのあの顔、とんでもないわね。あれがフォーカスの婚約者さん? うっわないわー」
「そうなんだよ、最低だろ?」
「ほんとそれ! まさに最低! まったく、とんでもない女に捕まりかけたものね」
「うんざりする顔だわほんと」

 しかも浮気相手と二人で馬鹿にしたような笑い顔まで向けられてしまった。

 どうしてこんな顔に生まれてしまったのだろう。
 どうしてこんな目に遭い続けなくてはならないのだろう。

 私は絶望に染まってゆく。

 だってそうだろう? 愛する人から、婚約者から、馬鹿にされ笑われるのだ――どう考えても絶望しかない。そんな状況で笑っていられる? きっと無理だ、誰だって。人間である限り。人には心というものがあって、それゆえ、傷つけられれば黒く染まりゆくものなのである。

「ま、そういうことだから。ミーナ、お前は二度と俺の前に現れるなよ」

 それがフォーカスからの最後の言葉であった。


 ◆


 婚約破棄された次の日の晩、私の目の前に青白く輝く魔法使いが現れた。

「可哀想なミーナ、貴女に奇跡を与えましょう」

 美しい女性である魔法使いは柔らかく上品な調子でそう言った。

「え……?」

 まさかの展開に戸惑いつつも。

「美しい容姿を贈るのです」
「無理ですよそんなの。それに……容姿が美しくなっても意味なんてないです、もう心は汚くなりきっていますから」
「いいえ。美しくなればすべてが解決しますよ。なんせ貴女の苦しみのすべては容姿のせいなのですから」
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