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後編
しおりを挟むだって、あのまま一緒にいても、きっとわがままを言われ続けるばかりだと思う。そんな風にして一生を終えるのは私は嫌だ。でも彼と一緒になるならそれは回避できないことだ。
となると、今のうちに離れておくしかない。
そのようなパターンは一度も考えてみなかった。
でもこうなったのだから案外これが最善だったのかもしれない。
――そうして関係が完全に終わった日の晩、ヴァッシフは死んだ。
何があったのか詳しいことは知らない。
ただ綺麗な死ではなかったようで。
苦しみ絶望の中で死んでいったそうだ。
ま、その方が良いだろう。
私は解放されたけれど、あのままではきっとまた誰かが被害に遭っただろう。ヴァッシフが生きている限りそれは続く、何度でも繰り返されるに違いない。その負のループを断つ方法はヴァッシフの死しかないのだ。
……ちなみに私はというと、婚約破棄されてから数年後のある時旅行に来ていた大国の王子に偶然出会い見初められて結婚、裕福に暮らせることとなった。
そうして今私は最高の幸せを手にしている。
私はもう、きっと、一生この幸せを手放さない。
◆終わり◆
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