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前編
しおりを挟む私ルリーは長女、そして私にはエリアという妹がいる。
女としての評判はというと、エリアの圧勝。
彼女はまるで有名人であるかのような可憐かつ整った容姿の持ち主で誰からもちやほやされて育ち、今日に至っている。
そんな私たち姉妹は親の紹介によって知り合った二人兄弟とそれぞれ結婚することとなった。
「お兄さまの方があたしと結婚するんですのよ、お姉さま! 分かっていらして?」
「ええ分かっているわ」
「ま、余り物同士仲良くなさって? うふふ」
「相変わらず酷いなぁ……」
「酷い? まっさか! 相応しい者同士がくっつく、それがこの世界の常識ですわ!」
その兄弟というのが、これまた対照的な兄弟であった。
兄のほうは名はアオイというのだが、遊び人という噂は若干あるものの顔面偏差値はとても高くコミュニケーション能力も高いという人物。
弟のほうは名をカインドといい、アオイほど美男子ではないがまったりもっちりとした印象の人であった。
姉と兄、妹と弟、通常であれば年齢的にもそういうくっつき方をしそうなものだが。
「アオイさん! あたし、アオイさんのことずっと憧れていましたの!」
「あはは、とっても可愛いね」
「ええ~? 照れてしまいますわぁ」
「照れなくていいよ」
「うっふふふっふっふ! アオイさん、あたしのこと、愛してくれますぅ?」
「愛するよもちろん」
「やーったーぁっ!」
妹は積極的にアオイにアプローチし、その結果、見事アオイを射止めた。
「ボクで……すみません、お姉さん」
「いえいえ」
選択する権利もないまま私の相手となってしまったカインドは、申し訳なさそうな顔をしていた。
勝手なことをしたのは我が妹エリアであって、振り回されている側であるカインドに非はないのに――何だか少し申し訳ない。
「ええと、ボクは……カインドと申します。ルリーさん、でしたよね? どうか、よろしくお願いいたします」
ただ、私は、カインドに興味を持っている。
これはあくまで勝手に抱いている印象だが、アオイよりカインドとの方が仲良くなれそうな気がするのだ。
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