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前編

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 皆さんは妖精って知っていますか?

 可愛いですよね。
 特に飛ぶタイプは少女のような見た目で愛くるしいものです。

 でもね、たまに怖いんです。

 彼女たちは基本的には人間に友好的です。でも怒らせるととんでもないことをすることもあります。そこのところは人間とは少々感性が異なっているので。人間から見ると残酷に思えても彼女たちにとってはたいしたことではない、ということもあるようなのです。

 これは私の守護妖精ピピが恐ろしかった話。

 では、聞いていってくださいね。


 ◆


 かつて私には婚約者がいました。
 オッスといいます。
 彼は婚約すると同時に私を自分の家へ来るよう求め、私はそれに従ったのですが、その結果私は彼から閉鎖空間で虐められることとなってしまいました。

 彼は私を言いなりの人形にしようとしていました。

 罵倒など可愛いもの。
 手を出されることもありました。

 監禁された状態で心身を共に傷つけられるのです、なかなか辛いものがありました。

 そこで私は脱出を試みます。
 しかし失敗。
 それによって婚約破棄を言い渡されてしまいます。

 彼は「お前みたいな脱走しようとするやつには更なる罰が必要だ!」と言い出しました。

 ……って、まぁ、ここまでは重要でもないのですが。

 守護妖精ピピが怖かったのはここからです。

 脱出を試みた際に生命反応で私がそこにいることに気づいたピピは、すぐに駆けつけてくれました。
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