婚約破棄されましたが、宮廷魔道士の妻になりました。今の暮らしにはとても満足しています。

四季

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前編

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「マリー! 貴様との婚約は破棄とする!」

 想定していなかったことが起こる。
 まさかの展開になる。
 そういう日、そういう瞬間とは、いつも唐突にやってくるものだ。

 婚約者アルンが婚約破棄を告げてきた。

「貴様は俺の妹リリに心ないことを言ったそうだな、豚鼻とか耳がごみとか! 容姿に対してそのようなことを言うとは! 許せん! だから婚約破棄することにした!」

 心当たりがない。

 何かの間違いではないか?
 人違いとか。
 あるいは夢か妄想ではないか?
 少なくとも、そのようなことを言ったのは私ではない。

「あの……私、そのようなことは一度も申していませんよ」
「嘘をつくな」

 婚約者の妹の容姿を悪く言う、なんて、そんなこと……するはずがない。

「いえ、嘘ではありません。私は本当のことしか言っていません。神にでも誓えます」

 しかし私の言葉はアルンには届かない。

「うるさい! まだ逃げようとするか、いい加減諦めて認めろ!」

 彼は妹の言葉だけを信じていて。
 私の言葉など聞こうとさえしなかった。

 こうして、私と彼の関係は終わった。

 風の強い日だった。


 ◆


 その後、私は、宮廷魔道士の男性に気に入られた。
 出会いはある喫茶店。
 彼が言うには、一人で席につき本を読んでいる私を見て興味が湧いたらしい。
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