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2話「絡まれるのは厄介です」
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「あなたがリマリーローズ・ティアラね?」
晩餐会の会場から出るや否や一人の女性に声をかけられた。
だが声の主の顔を目にしてほぼ無意識のうちに溜め息が出そうになってしまう――というのも、王子ガオンの幼馴染みルルネだったのだ。
華やかさはあるけれど押しが強そうで、私はあまり得意としていないようなタイプの女性である。
「前に会ったことあったかしら? んー、まぁ、けど、地味過ぎて思い出せないわ」
「すみません、私はこれで失礼します」
「ちょっと!」
「え」
「このあたしが喋ってあげているのよ。それをスルーして立ち去ろうだなんて、無礼にもほどがあるわ」
意味が分からない……。
しかも、自分から話しかけてきておいてそんなことを言うなんて、勝手過ぎる……。
「ねぇ、あなた、ガオンと結婚できるって思ってたんでしょ?」
「……婚約は破棄になりましたので」
「やっぱりね! 王子と結婚できるって話になって浮かれてたんだろうけど、残念ね。彼が愛しているのはあたしだけなの!」
ルルネはにやりと粘り気のある笑みを浮かべる。
「あたしと彼は幼馴染みだもの、付き合いが長いの。だから単なる友情を越えた絆がある、ってこと! 分かる? まぁ、あなたってちょっとおバカみたいだから、分からないかもね。けど、彼があたし以外の女を選ぶわけがないのよ!」
腕組みをした彼女は勝ち誇ったような顔を向けてきていた。
「女神の加護が何? って話よ。そんなものなーんにも役に立たないじゃない。所詮言い伝えでしょ? くっだらない。そんなくだらない話で未来の王妃が決まってたまるかっての! ……ま、夢みてたおバカさんにこんなこと言うのは可哀想かもしれないけどね」
ルルネの口から出てくる言葉たちには終わりがない。
「と! に! か! く! ガオンがあなたを愛する確率なんてほぼゼロだってことよ。だってガオンはあたしのことが好きなんだもの」
「は、はぁ……」
「彼、いっつも、会うたびに愛を囁いてくれるのよ? あたしに。直接。この耳に唇をあてがって。彼ってとっても情熱的な男なの。でもあなたはそんな風にしてもらったことないでしょ? それがすべてを物語ってるってわけ」
この時間はいつまで続くのだろう……。
「あなたは必要とされていないってこと! 分かった? おバカさんのためにわざわざここへ来て説明してあげたんだから、感謝してよね!」
同じような話が繰り返される時間というのは非常に退屈だ。話題が面白いものであればまだ良いのだけれど。こんな風に不快にさせられる話題を何度も何度も繰り返されては、ただひたすらに不快さという塵が積もってゆくばかり。
ルルネの長い金髪を指で弄る仕草さえ、今は不快感を掻き立てる一つの要素となってしまっている。
もう、とにかく、少しでも早く逃れたい――こうして彼女を見ていたくない。
そんな感情が溢れ出す。
それはきっと本能的な不快感。
「もう良いですか?」
「はぁ!? 何偉そうなこと言ってんのよ! ふざけないで! あたしがもういいって言うまでは終わりじゃないの。あたしの方があなたより偉いんだから! 関わり方だって、全部あたしが決めるのよ!」
「すみませんが、私はもうこれで」
「待ちなさい! 勝手なことをするのは許さないわ!」
「……まだ何かお話が?」
「あるわ! あるわよ! 勘違い女のあなたに現実をきちんと教え込む、それが今のあたしのすべきことなのよ!」
もう耐えきれないので立ち去ろうとして――けれどもその瞬間ルルネに右手首を強く掴まれてしまう。
「逃げてんじゃないわよ!」
「離してください」
「それはできないわ! だってあたしにはまだまだ言わなくちゃならないことがあるんだもの!」
――と、その時。
「何をやっているんだ?」
聞き覚えのない声が耳に飛び込んできて。
「取り敢えず、手を離してやってはどうだ」
声がした方へ視線を移せば、そこには一人の男性が立っていた。
晩餐会の会場から出るや否や一人の女性に声をかけられた。
だが声の主の顔を目にしてほぼ無意識のうちに溜め息が出そうになってしまう――というのも、王子ガオンの幼馴染みルルネだったのだ。
華やかさはあるけれど押しが強そうで、私はあまり得意としていないようなタイプの女性である。
「前に会ったことあったかしら? んー、まぁ、けど、地味過ぎて思い出せないわ」
「すみません、私はこれで失礼します」
「ちょっと!」
「え」
「このあたしが喋ってあげているのよ。それをスルーして立ち去ろうだなんて、無礼にもほどがあるわ」
意味が分からない……。
しかも、自分から話しかけてきておいてそんなことを言うなんて、勝手過ぎる……。
「ねぇ、あなた、ガオンと結婚できるって思ってたんでしょ?」
「……婚約は破棄になりましたので」
「やっぱりね! 王子と結婚できるって話になって浮かれてたんだろうけど、残念ね。彼が愛しているのはあたしだけなの!」
ルルネはにやりと粘り気のある笑みを浮かべる。
「あたしと彼は幼馴染みだもの、付き合いが長いの。だから単なる友情を越えた絆がある、ってこと! 分かる? まぁ、あなたってちょっとおバカみたいだから、分からないかもね。けど、彼があたし以外の女を選ぶわけがないのよ!」
腕組みをした彼女は勝ち誇ったような顔を向けてきていた。
「女神の加護が何? って話よ。そんなものなーんにも役に立たないじゃない。所詮言い伝えでしょ? くっだらない。そんなくだらない話で未来の王妃が決まってたまるかっての! ……ま、夢みてたおバカさんにこんなこと言うのは可哀想かもしれないけどね」
ルルネの口から出てくる言葉たちには終わりがない。
「と! に! か! く! ガオンがあなたを愛する確率なんてほぼゼロだってことよ。だってガオンはあたしのことが好きなんだもの」
「は、はぁ……」
「彼、いっつも、会うたびに愛を囁いてくれるのよ? あたしに。直接。この耳に唇をあてがって。彼ってとっても情熱的な男なの。でもあなたはそんな風にしてもらったことないでしょ? それがすべてを物語ってるってわけ」
この時間はいつまで続くのだろう……。
「あなたは必要とされていないってこと! 分かった? おバカさんのためにわざわざここへ来て説明してあげたんだから、感謝してよね!」
同じような話が繰り返される時間というのは非常に退屈だ。話題が面白いものであればまだ良いのだけれど。こんな風に不快にさせられる話題を何度も何度も繰り返されては、ただひたすらに不快さという塵が積もってゆくばかり。
ルルネの長い金髪を指で弄る仕草さえ、今は不快感を掻き立てる一つの要素となってしまっている。
もう、とにかく、少しでも早く逃れたい――こうして彼女を見ていたくない。
そんな感情が溢れ出す。
それはきっと本能的な不快感。
「もう良いですか?」
「はぁ!? 何偉そうなこと言ってんのよ! ふざけないで! あたしがもういいって言うまでは終わりじゃないの。あたしの方があなたより偉いんだから! 関わり方だって、全部あたしが決めるのよ!」
「すみませんが、私はもうこれで」
「待ちなさい! 勝手なことをするのは許さないわ!」
「……まだ何かお話が?」
「あるわ! あるわよ! 勘違い女のあなたに現実をきちんと教え込む、それが今のあたしのすべきことなのよ!」
もう耐えきれないので立ち去ろうとして――けれどもその瞬間ルルネに右手首を強く掴まれてしまう。
「逃げてんじゃないわよ!」
「離してください」
「それはできないわ! だってあたしにはまだまだ言わなくちゃならないことがあるんだもの!」
――と、その時。
「何をやっているんだ?」
聞き覚えのない声が耳に飛び込んできて。
「取り敢えず、手を離してやってはどうだ」
声がした方へ視線を移せば、そこには一人の男性が立っていた。
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