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2話「心ない者しかいない世界で」
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◆
それから一年。
明日が結婚式という日に、再び悲劇が起きた。
「お前との婚約、やめるわ」
アーロンが勝手なことを言い出したのだ。
明日のため色々準備してきた。なのに今さらそれをやめるだなんて。普通の人にはとても想像できない。いや、まず、一般人にはそういう発想がない。災害や大事件が原因ならともかく。
「そんな、待ってください。やめるとなったらこれまで準備してきたものはどうなるのですか? 人も既に招いています。どうするのですか?」
すると彼は激怒した。
彼は私の片手首を掴み、圧をかけながら、脅す。
「逆らうな、外れ女」
どうして私はいつもいつもこんな目に遭うのだろう。
狡いことも悪いことも酷いこともせず、まっとうに生きてきたのに。
運が悪いのか?
いや、だとしたら、驚くほど悪いと言えるだろう。
ここまで誰にも愛されず欲されないとは、こんな人生になるとは、幼い頃は夢にも思わなかった。幼い頃は、いつかきっと良い人に巡りあえるのだと信じていた。
でも現実は甘くなくて。
まだ夢をみていた頃の私に教えてあげたい。
未来に希望はないのよ、と。
「ま、そういうことだからさー。式の中止はうちから伝えておくし、気にしなくていーよ。じゃ、ばいびー」
こうして私は彼に捨てられた。
翌日の式は中止。
必然的に実家へ帰ることとなってしまう。
「あの家のお嬢さん、式前日に婚約破棄されたそうよ」
「上のほう? 下のほう?」
「下よ」
「あぁ~、確かに、そっちはぱっとしないものね~」
「でも式前日にだなんて可哀想ね」
「気の毒に~」
道を歩くだけでもひそひそ話をされてしまう。
その時の私にとっては、それが何よりも辛いことだった。たとえ気の毒に思ってくれているとしても、である。本人に悪意はなくとも、弱った心には言葉一つ一つがぐさぐさ突き刺さるものなのだ。
しかも母親には「あんた何やらかしたの? 浮気?」などと言われてしまった。
それから一年。
明日が結婚式という日に、再び悲劇が起きた。
「お前との婚約、やめるわ」
アーロンが勝手なことを言い出したのだ。
明日のため色々準備してきた。なのに今さらそれをやめるだなんて。普通の人にはとても想像できない。いや、まず、一般人にはそういう発想がない。災害や大事件が原因ならともかく。
「そんな、待ってください。やめるとなったらこれまで準備してきたものはどうなるのですか? 人も既に招いています。どうするのですか?」
すると彼は激怒した。
彼は私の片手首を掴み、圧をかけながら、脅す。
「逆らうな、外れ女」
どうして私はいつもいつもこんな目に遭うのだろう。
狡いことも悪いことも酷いこともせず、まっとうに生きてきたのに。
運が悪いのか?
いや、だとしたら、驚くほど悪いと言えるだろう。
ここまで誰にも愛されず欲されないとは、こんな人生になるとは、幼い頃は夢にも思わなかった。幼い頃は、いつかきっと良い人に巡りあえるのだと信じていた。
でも現実は甘くなくて。
まだ夢をみていた頃の私に教えてあげたい。
未来に希望はないのよ、と。
「ま、そういうことだからさー。式の中止はうちから伝えておくし、気にしなくていーよ。じゃ、ばいびー」
こうして私は彼に捨てられた。
翌日の式は中止。
必然的に実家へ帰ることとなってしまう。
「あの家のお嬢さん、式前日に婚約破棄されたそうよ」
「上のほう? 下のほう?」
「下よ」
「あぁ~、確かに、そっちはぱっとしないものね~」
「でも式前日にだなんて可哀想ね」
「気の毒に~」
道を歩くだけでもひそひそ話をされてしまう。
その時の私にとっては、それが何よりも辛いことだった。たとえ気の毒に思ってくれているとしても、である。本人に悪意はなくとも、弱った心には言葉一つ一つがぐさぐさ突き刺さるものなのだ。
しかも母親には「あんた何やらかしたの? 浮気?」などと言われてしまった。
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