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7話「通じ合う心の庭に」
しおりを挟むクリステのことは好きだ。
多分、そうだと思う。
昔はそこまで特別な感情は抱いていなかったけれど、再会すると自然と惹かれて。
「ありがとう、クリステ」
嬉しいのだけれど、その嬉しさを言葉で上手く表現することはできそうにない。
けれども黙っていては駄目だ。
彼を不安にさせてしまう。
だから努力してでも何とか言葉を紡いでいかなくては。
「私も……クリステと一緒に歩んでいきたいと、思っているわ」
恥じらいの中で彼の目を見つめれば、ますます恥ずかしくなるけれど、だからといって目を逸らすことはできない。
「ぜひそうしましょう」
それから少しして、私たちはようやく笑い合うことができた。
「あー良かった! 緊張したー!」
「クリステも緊張とかするのね」
「どういう意味? するよ、緊張くらい」
「でも落ち着いて見えるから」
「いやいや、緊張しない人なんて滅多にいないでしょ」
彼はけらけらと笑っていた。
「そういうもの?」
「そういうものだよ」
二人、視線を重ねれば、少し恥ずかしくなって弾き合う。
けれども通い合った心の庭にはもうじき愛になる蕾が膨らんでいる。
「でも、さ」
「何?」
「奇跡だよな、こうやってまた会えるなんて」
そうだ、この再会は奇跡なのだ。
だってもう二度と会わないはずだったのに。
なのにまた出会えた。
そしてこうして隣を歩くことができている。
「クリステ、私たち、幸せになれるかしら」
「努力するよ。……ううん、そうじゃないな。幸せにできるようにする、絶対」
穏やかな日射しは私たちの新しい出発を祝福してくれているかのよう。
「ありがとう。私も頑張るわ、料理とか」
「それは駄目」
即座に返されてしまった。
でもそれはそうか。
私が料理なんてしたら絶対にまたやらかしてしまうに違いない。
正直自分でも上手になれる気がしない。
「ええっ」
「大変なことになるから。料理はしなくていいよ」
「ええーそんなー」
「シェリアはできることをするだけでいいんだ」
彼が言うことも分からないではない。
人には得意不得意がある。
だからできることをやって伸ばしてゆく方が良いのかもしれない。
「じゃ、他の何かで貢献できるようにするわ」
「それがいいな」
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