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婚約破棄、ならばここで終わらせる。

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「そん、な……」

 婚約破棄を告げられて。
 驚いて引いた腕にぶつかった姿見が割れた。

 震える瞳で彼を見る。

 そう、もう私への感情など失った、冷ややかな彼を。

「さようなら」

 彼がそう唇を動かした時、私の中にあった何かが砕けて。

 ここで終わらせる。
 割れた鏡の一部を掴む。

 鋭くなったそれで彼を突き刺す。

 彼は青ざめる。
 悪魔でも見たかのような顔をする。

 私とてこんな結末を望んだわけではなかった……。

 でも、私を止めるものはなかった。

 彼を愛していた。
 でももう手に届かない人になってしまう。

 ならば……。

「共に、逝きましょう」

 私は己をも突き刺す。

 共に歩めないのなら。
 ここで終わらせる。


◆終わり◆
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