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1.魔王様になる
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気がついたら、見知らぬ場所にいた。
白い石の壁に囲まれ、床には赤いカーペットが敷かれた、そんな場所。
しかも私は、ソファのような椅子に座っていて、頭には金色の王冠が被せられている。
……何が起きた?
私の名前は、大海 空。日本の大学生。一人っ子で家族とマンションで暮らし趣味はゲームという、探せば百人に数人はいそうな女子だった。
その私が、どうしてこんなところにいるのか。わけが分からない。
見知らぬ場所で一人戸惑っていると、やがて、私が座っている椅子を直進したところにある大きな扉が開いた。
そして、誰かが現れる。
「おおっ! これはこれは!」
開いた扉から現れたのは、人間ではなかった。
いや、体自体は人間のようなのだ。ただ、頭部がスライムのようで、ぷるぷるしている。目と口と鼻は一応あるから、人間に近い気もする。が、緑色のスライム部分が常にぷるぷる震えているので、それによって人間らしさがグッと下がってしまっている。
「貴女様が今回の魔王様ですか!」
「……え」
「状況が掴めていらっしゃらないようですので、ご説明致します!」
言葉を発する度、緑色のスライム部分が微かに震える。
この状況を説明してくれるというならありがたいことだが、正直、ぷるぷるしているのが気になって仕方がない。そちらについて先に説明してほしい、と思ってしまうくらい。
「我々の国では、五年に一度魔王様を入れ替えるという制度がありまして。五年に一度、魔王様召喚の儀式を行うのでございます。そして、その際に召喚されたお方に、五年間、この国の魔王様を務めていただくのです」
ということは、私が今回の魔王様?
そんな馬鹿な。
「これから五年間、よろしくお願い致します!」
「えっと……意味が分かりません」
「んなっ!? 丁寧に説明したにもかかわらず、ご理解いただけないと!?」
「元の世界に返して下さい」
分かるわけがない。
いきなりこんな奇妙なことに巻き込まれて、すんなり「はい、そうですか」なんて言えない。
「それは不可能なのです!」
「どうしてですか」
「貴女様が、今回の魔王様に選ばれてしまったからです!」
知るか! という気分だ。
このままここに残ったら、日本の私は失踪したことになるだろう。そうなれば、警察に迷惑がかかるだろうし、親や近所の人たちを心配させることになってしまうかもしれない。そんなのは困る。
「魔王をする気はありません。帰ります」
「不可能です!」
「……どうしてですか」
「召喚された時点で五年契約は完了しておりますので!」
言いきって、満足そうに顔をぷるぷるさせてくる。
不愉快でしかない。
「では早速! 魔王様のお名前をお聞かせ下さい!」
「……大海 空です」
「オオミ ソラ様ですね! 承知しました!」
頭部だけスライムの彼は、一度しっかり頭を下げる。そしてゆっくりと頭を上げると、「自分はプルルと申します。魔王様に事情を説明する役割を長年務めてまいりました。よろしくお願い致します!」とスピーディーに自己紹介をしてきた。
こうして、私の魔王様人生が始まった……。
白い石の壁に囲まれ、床には赤いカーペットが敷かれた、そんな場所。
しかも私は、ソファのような椅子に座っていて、頭には金色の王冠が被せられている。
……何が起きた?
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その私が、どうしてこんなところにいるのか。わけが分からない。
見知らぬ場所で一人戸惑っていると、やがて、私が座っている椅子を直進したところにある大きな扉が開いた。
そして、誰かが現れる。
「おおっ! これはこれは!」
開いた扉から現れたのは、人間ではなかった。
いや、体自体は人間のようなのだ。ただ、頭部がスライムのようで、ぷるぷるしている。目と口と鼻は一応あるから、人間に近い気もする。が、緑色のスライム部分が常にぷるぷる震えているので、それによって人間らしさがグッと下がってしまっている。
「貴女様が今回の魔王様ですか!」
「……え」
「状況が掴めていらっしゃらないようですので、ご説明致します!」
言葉を発する度、緑色のスライム部分が微かに震える。
この状況を説明してくれるというならありがたいことだが、正直、ぷるぷるしているのが気になって仕方がない。そちらについて先に説明してほしい、と思ってしまうくらい。
「我々の国では、五年に一度魔王様を入れ替えるという制度がありまして。五年に一度、魔王様召喚の儀式を行うのでございます。そして、その際に召喚されたお方に、五年間、この国の魔王様を務めていただくのです」
ということは、私が今回の魔王様?
そんな馬鹿な。
「これから五年間、よろしくお願い致します!」
「えっと……意味が分かりません」
「んなっ!? 丁寧に説明したにもかかわらず、ご理解いただけないと!?」
「元の世界に返して下さい」
分かるわけがない。
いきなりこんな奇妙なことに巻き込まれて、すんなり「はい、そうですか」なんて言えない。
「それは不可能なのです!」
「どうしてですか」
「貴女様が、今回の魔王様に選ばれてしまったからです!」
知るか! という気分だ。
このままここに残ったら、日本の私は失踪したことになるだろう。そうなれば、警察に迷惑がかかるだろうし、親や近所の人たちを心配させることになってしまうかもしれない。そんなのは困る。
「魔王をする気はありません。帰ります」
「不可能です!」
「……どうしてですか」
「召喚された時点で五年契約は完了しておりますので!」
言いきって、満足そうに顔をぷるぷるさせてくる。
不愉快でしかない。
「では早速! 魔王様のお名前をお聞かせ下さい!」
「……大海 空です」
「オオミ ソラ様ですね! 承知しました!」
頭部だけスライムの彼は、一度しっかり頭を下げる。そしてゆっくりと頭を上げると、「自分はプルルと申します。魔王様に事情を説明する役割を長年務めてまいりました。よろしくお願い致します!」とスピーディーに自己紹介をしてきた。
こうして、私の魔王様人生が始まった……。
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