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6.お茶会とオークの子どもたち
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時が経つのは早いもので、私が魔王様になって一週間が過ぎた。
こちらの世界での暮らしにもそろそろ慣れてきて、段々楽しくなってきているところだ。
「ソラ様はクッキーがお好きですわね」
「はい。メディさんが作って下さったクッキーはいつも美味しいです」
最近のマイブームは、魔王城の中で穏やかにお茶を楽しむこと。
メディが作ってくれたお菓子をお茶と合わせて楽しむのが、私の幸福となっている。
「あ、そうだ。今日はメディさんにお返しをしようと思います」
「……あら、それはどういうことですの?」
これは私が数日前から考えていたことだ。といっても、誰かに相談することはしていないけれど。ただ、自分の中だけで、ひっそりと考えていたのである。
「お団子出し放題!」
魔王様として召喚された際に手に入れた力を使い、私は、お団子を十本ほど出現させる。
そして、そのうちの一本をメディに差し出した。
「食べて下さい、メディさん」
取り敢えず一本試しに食べてもらって、気に入ったようなら十本プレゼントしようと考えている。
プルルはとても美味しがっていたからメディも気に入ってくれるかもしれない。
「あらあら……ソラ様に贈り物をいただくなんて、申し訳ないですわ」
口もとを手で隠し、メディはお上品に笑う。
「本当にいただいてよろしいんですの?」
「もちろんです」
「では……一口いただきますわね」
野草を生地に練り込んだクッキーやビスケット。蜂蜜を混ぜて甘く仕上げたスコーン。自然素材の甘みを利用して作った、素朴な味のケーキ。
メディのお手製スイーツは、どれもたまらなく美味しい。
私は彼女にいつも楽しませてもらっている。
けれども、私は彼女に返せるようなものを持っていない。彼女は私に尽くしてくれるのに、私は彼女に何も返すことができないのだ。
それでは駄目だと思い立ち、色々考えてみた結果、この案にたどり着いた。
「……ん!」
お団子を一つ口に含み、メディは声を漏らす。
「どうですか……?」
「これは! かなり美味しいですわ!」
気に入ってくれたみたいだ。
私は内心安堵する。
「どのように作っていらっしゃるのかしら!?」
「私が作っているわけではないんです」
「そ、そうでしたわね! お団子を出すのはソラ様の能力ですものね!」
メディは少し恥ずかしそうな顔をしながら、お団子を頬張っている。咀嚼している彼女は幸せそうな顔に見えて、「少しは恩返しになったかなぁ」なんて思ったりした。
「そうなんです……参考にならずすみません」
「いえいえ。美味しいものをいただけただけでも嬉しいですわ」
◆
それからまた数日が経ち、私が魔王様になって十日が経過した。
この日は、プルルから「昼頃に子どもが訪問してくる」と聞いていたため、私は少しばかり心待ちにしていた。どんな子どもが来るのだろう、と。
そして、その時はやって来た。
「ぶうぅぅぅぅーん!!」
「やっぷぅうぉぉぉーい!!」
現れたのは、オークの子どもたち。
イノシシと人間のハーフのようなビジュアルの子どもたちだ。
「初めまして。現在の魔王、ソラです」
無垢な目をしたオークの子どもたちが見ている前で挨拶する日が来るなんて、誰が想像しただろうか。
「魔王おおぉぉぉぅん!」
「ねいちゃんキタアァァァァァ!」
いちいち大声を発するオークの子どもを眺めていたら、なぜかほっこりしてしまった。
こちらの世界での暮らしにもそろそろ慣れてきて、段々楽しくなってきているところだ。
「ソラ様はクッキーがお好きですわね」
「はい。メディさんが作って下さったクッキーはいつも美味しいです」
最近のマイブームは、魔王城の中で穏やかにお茶を楽しむこと。
メディが作ってくれたお菓子をお茶と合わせて楽しむのが、私の幸福となっている。
「あ、そうだ。今日はメディさんにお返しをしようと思います」
「……あら、それはどういうことですの?」
これは私が数日前から考えていたことだ。といっても、誰かに相談することはしていないけれど。ただ、自分の中だけで、ひっそりと考えていたのである。
「お団子出し放題!」
魔王様として召喚された際に手に入れた力を使い、私は、お団子を十本ほど出現させる。
そして、そのうちの一本をメディに差し出した。
「食べて下さい、メディさん」
取り敢えず一本試しに食べてもらって、気に入ったようなら十本プレゼントしようと考えている。
プルルはとても美味しがっていたからメディも気に入ってくれるかもしれない。
「あらあら……ソラ様に贈り物をいただくなんて、申し訳ないですわ」
口もとを手で隠し、メディはお上品に笑う。
「本当にいただいてよろしいんですの?」
「もちろんです」
「では……一口いただきますわね」
野草を生地に練り込んだクッキーやビスケット。蜂蜜を混ぜて甘く仕上げたスコーン。自然素材の甘みを利用して作った、素朴な味のケーキ。
メディのお手製スイーツは、どれもたまらなく美味しい。
私は彼女にいつも楽しませてもらっている。
けれども、私は彼女に返せるようなものを持っていない。彼女は私に尽くしてくれるのに、私は彼女に何も返すことができないのだ。
それでは駄目だと思い立ち、色々考えてみた結果、この案にたどり着いた。
「……ん!」
お団子を一つ口に含み、メディは声を漏らす。
「どうですか……?」
「これは! かなり美味しいですわ!」
気に入ってくれたみたいだ。
私は内心安堵する。
「どのように作っていらっしゃるのかしら!?」
「私が作っているわけではないんです」
「そ、そうでしたわね! お団子を出すのはソラ様の能力ですものね!」
メディは少し恥ずかしそうな顔をしながら、お団子を頬張っている。咀嚼している彼女は幸せそうな顔に見えて、「少しは恩返しになったかなぁ」なんて思ったりした。
「そうなんです……参考にならずすみません」
「いえいえ。美味しいものをいただけただけでも嬉しいですわ」
◆
それからまた数日が経ち、私が魔王様になって十日が経過した。
この日は、プルルから「昼頃に子どもが訪問してくる」と聞いていたため、私は少しばかり心待ちにしていた。どんな子どもが来るのだろう、と。
そして、その時はやって来た。
「ぶうぅぅぅぅーん!!」
「やっぷぅうぉぉぉーい!!」
現れたのは、オークの子どもたち。
イノシシと人間のハーフのようなビジュアルの子どもたちだ。
「初めまして。現在の魔王、ソラです」
無垢な目をしたオークの子どもたちが見ている前で挨拶する日が来るなんて、誰が想像しただろうか。
「魔王おおぉぉぉぅん!」
「ねいちゃんキタアァァァァァ!」
いちいち大声を発するオークの子どもを眺めていたら、なぜかほっこりしてしまった。
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