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一般市民の王女観察記〜花屋編〜
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私の名前はフィーネ。エンジェリカ王宮近くの花屋の娘で、今は両親が営む花屋でお手伝いしてるの。
今日はアンナ王女に、誕生日祝いの花束を献上しに行ってきます! 確か王女様って、とっても美人で可愛らしい方なのよね。
私みたいな一般天使はなかなかお近づきになれない。せっかくの機会だから、悪い印象にならないようにおめかししていかなくちゃね。
そういうことで、今日はいつになくお洒落してきちゃった。
髪の毛もちゃんとセットしたし、服も特別な日用の一番高級なやつを着てきた!高級って言っても、まぁたいしたものじゃないけど。
花束も持ったし、いざ出発!
事情を話して通してもらった。アンナ王女の自室の前で待つ。うぅ、動悸がする……。
しばらくすると係の方が「お待たせしました」と言って扉を開けてくれた。いよいよご対面! うぅ、動悸が……。
恐る恐る部屋へ足を踏み入れると、アンナ王女が温かく迎えてくれた。
「花束! やっと届いたのね」
自ら駆け寄ってきてくれて、素敵な笑顔を咲かせる。金の髪はとっても綺麗だし、ドレスもとても豪華で、ついつい見とれちゃった。
さすがは王女様、あらゆるところのレベルが違う!
それにそんな美しい方なのにとても気さくなの。平民の私なんかにもすっごく親しげに話してくださって……、感動で涙が出そう。
「えっと、お花屋さん? 女の子なのね。お名前は?」
「え、えと……フィーネ……です」
恥ずかしながら、まともに答えられなかった。緊張して途切れ途切れになってしまう。
それでもアンナ王女は笑顔を崩さず「よろしく」って言ってくださった。なんて素敵な方なの。綺麗なのは容姿だけじゃないのね。
「今日は花束、本当に嬉しいわ。ありがとう! フィーネさん、またいつか会いましょう」
別れしな、わざわざ部屋の外まで出てきてくださるアンナ王女。私、もう泣きそうだった。
だって王女様がだよ? 一平民のためにわざわざ部屋の外まで来てくださるんだよ?
そんなことって信じられない。
「エリアス、ちょっと外まで送ってあげてくれる?」
「私がですか?」
「そうよ。せっかくのお客様に何かあったら大変でしょ?」
「いえ、王女の方が……」
「ダメよ。フィーネさんを送ってあげて」
「……分かりました」
それにしても、アンナ王女の隣にいらっしゃる男性、とてもかっこいい。睫は長いし、顔は凛々しい。背もそこそこ高くてスタイルも抜群。それに、白いお洋服もよく似合ってる。
王女様と二人で話している姿、絵になるなぁ。きっと彼も育ちがいいのね。
「ではフィーネさん、王宮の外までお送りします」
ひえぇぇぇ!
し、喋りかけられるなんて……。心臓の鼓動がとんでもなく加速する。
お願い、心の準備をさせて!
「フィーネさん?」
「はっ、はひぃっ!?」
ああぁぁぁ!
おかしな声を出してしまい赤面する。恥ずかしすぎる……。
「エリアス、脅かしちゃダメよ。優しくね」
その様子を眺めていたアンナ王女が男性に注意する。申し訳ないです……。私が男慣れしていないばかりに……。
「はい、王女。失礼しました、フィーネさん。私、それほど怖いですか?」
「い、いいえ」
私は凄まじくドキドキしながら何とか答えた。
「では参りましょうか」
「……はい。ありがとうございます……」
こうして私は、王宮の外門まで彼に送ってもらった。
こんな贅沢な経験、私の人生ではもう二度とないかも。こんなかっこいい男性と一緒に歩くことなんて、最初で最後になりそう。
別れしな、私は勇気を出して尋ねてみた。
「あっ、あの……」
「どうなさいました?」
「貴方と王女様は付き合ってられるんですかっ!?」
キョトンとした顔をされる。
そうよね。一介の天使がこんな質問、叱られるよね。
「え?」
「あ、こんなこと……ごめんなさい。急に変ですよね」
しかし男性は嫌な顔一つせずに微笑んで返す。
「私は王女の護衛隊長です。私ごときがあの方を愛するなど、そんな贅沢できませんよ」
あれだけ近くにいる方でもそう思っているんだ。そう思い、少し親近感を抱いた。
——その後、王宮。
「ただいま戻りました」
「お帰りなさい、エリアス」
「いきなり送れとは驚きました。ふふっ、王女にはいつも驚かされます」
「ふふっ。にしてもあの子、初々しくて可愛かったわね。えーと、名前は何だっけ?」
アンナはノリで聞いただけなので覚えていなかった。
「フィーネさんです」
「そうだった!」
恐らく三分後には忘れるだろうが。
「忘れていたのですね、王女」
アンナは気さくだが、興味のないことに対しては、ちゃんと覚えようとしない質だったりする。
◇終わり◇
今日はアンナ王女に、誕生日祝いの花束を献上しに行ってきます! 確か王女様って、とっても美人で可愛らしい方なのよね。
私みたいな一般天使はなかなかお近づきになれない。せっかくの機会だから、悪い印象にならないようにおめかししていかなくちゃね。
そういうことで、今日はいつになくお洒落してきちゃった。
髪の毛もちゃんとセットしたし、服も特別な日用の一番高級なやつを着てきた!高級って言っても、まぁたいしたものじゃないけど。
花束も持ったし、いざ出発!
事情を話して通してもらった。アンナ王女の自室の前で待つ。うぅ、動悸がする……。
しばらくすると係の方が「お待たせしました」と言って扉を開けてくれた。いよいよご対面! うぅ、動悸が……。
恐る恐る部屋へ足を踏み入れると、アンナ王女が温かく迎えてくれた。
「花束! やっと届いたのね」
自ら駆け寄ってきてくれて、素敵な笑顔を咲かせる。金の髪はとっても綺麗だし、ドレスもとても豪華で、ついつい見とれちゃった。
さすがは王女様、あらゆるところのレベルが違う!
それにそんな美しい方なのにとても気さくなの。平民の私なんかにもすっごく親しげに話してくださって……、感動で涙が出そう。
「えっと、お花屋さん? 女の子なのね。お名前は?」
「え、えと……フィーネ……です」
恥ずかしながら、まともに答えられなかった。緊張して途切れ途切れになってしまう。
それでもアンナ王女は笑顔を崩さず「よろしく」って言ってくださった。なんて素敵な方なの。綺麗なのは容姿だけじゃないのね。
「今日は花束、本当に嬉しいわ。ありがとう! フィーネさん、またいつか会いましょう」
別れしな、わざわざ部屋の外まで出てきてくださるアンナ王女。私、もう泣きそうだった。
だって王女様がだよ? 一平民のためにわざわざ部屋の外まで来てくださるんだよ?
そんなことって信じられない。
「エリアス、ちょっと外まで送ってあげてくれる?」
「私がですか?」
「そうよ。せっかくのお客様に何かあったら大変でしょ?」
「いえ、王女の方が……」
「ダメよ。フィーネさんを送ってあげて」
「……分かりました」
それにしても、アンナ王女の隣にいらっしゃる男性、とてもかっこいい。睫は長いし、顔は凛々しい。背もそこそこ高くてスタイルも抜群。それに、白いお洋服もよく似合ってる。
王女様と二人で話している姿、絵になるなぁ。きっと彼も育ちがいいのね。
「ではフィーネさん、王宮の外までお送りします」
ひえぇぇぇ!
し、喋りかけられるなんて……。心臓の鼓動がとんでもなく加速する。
お願い、心の準備をさせて!
「フィーネさん?」
「はっ、はひぃっ!?」
ああぁぁぁ!
おかしな声を出してしまい赤面する。恥ずかしすぎる……。
「エリアス、脅かしちゃダメよ。優しくね」
その様子を眺めていたアンナ王女が男性に注意する。申し訳ないです……。私が男慣れしていないばかりに……。
「はい、王女。失礼しました、フィーネさん。私、それほど怖いですか?」
「い、いいえ」
私は凄まじくドキドキしながら何とか答えた。
「では参りましょうか」
「……はい。ありがとうございます……」
こうして私は、王宮の外門まで彼に送ってもらった。
こんな贅沢な経験、私の人生ではもう二度とないかも。こんなかっこいい男性と一緒に歩くことなんて、最初で最後になりそう。
別れしな、私は勇気を出して尋ねてみた。
「あっ、あの……」
「どうなさいました?」
「貴方と王女様は付き合ってられるんですかっ!?」
キョトンとした顔をされる。
そうよね。一介の天使がこんな質問、叱られるよね。
「え?」
「あ、こんなこと……ごめんなさい。急に変ですよね」
しかし男性は嫌な顔一つせずに微笑んで返す。
「私は王女の護衛隊長です。私ごときがあの方を愛するなど、そんな贅沢できませんよ」
あれだけ近くにいる方でもそう思っているんだ。そう思い、少し親近感を抱いた。
——その後、王宮。
「ただいま戻りました」
「お帰りなさい、エリアス」
「いきなり送れとは驚きました。ふふっ、王女にはいつも驚かされます」
「ふふっ。にしてもあの子、初々しくて可愛かったわね。えーと、名前は何だっけ?」
アンナはノリで聞いただけなので覚えていなかった。
「フィーネさんです」
「そうだった!」
恐らく三分後には忘れるだろうが。
「忘れていたのですね、王女」
アンナは気さくだが、興味のないことに対しては、ちゃんと覚えようとしない質だったりする。
◇終わり◇
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