記憶の中に在るあの人は

四季

文字の大きさ
上 下
1 / 1

記憶の中に在るあの人は

しおりを挟む

ああ 冬の朝ね

愛おしい人
思い出して
切なくなる
降り積もる雪の傍で

窓越しに見つめていた
あの頃の
あの日々の
記憶の中に在るあの人は
深く愛していた
誰よりも大切な人だった

だからこそ
今でもこうして心に強く残っている

たとえ離れても

婚約が破棄になって

もう二度と会えない
もう二度と顔を晒せなくなっても

それでもなお
想いはより一層強まり
深まってゆくばかり
この愛に
この想いに
終わりなどないのだと
少しずつ気づき始めた
胸の内に遺る
切ない乙女心のような恋は
あの頃と変わらず
少女の顔をしている

ああ 冬の朝ね

また夜が明けたわ

早いものね
一日なんてあっという間
駆け足に過ぎ去ってゆく日々には
白い息を吐き出す暇もない

愛おしい人
思い出して
切なくなる
降り積もる雪の傍で

窓越しに見つめていた
あの頃の
あの日々の
記憶の中に在るあの人は
深く愛していた
誰よりも大切な人だった

記憶の中に在るあの人は……
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...