私は彼を信じていました、しかし彼は信じるに値するような人間ではなかったようです。

四季

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後編

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 そんなに仲良さそうにいちゃつけるのならきっと想い合っているのだろう、ならばその二人でくっつけばいい。

 ……そこに私がいる必要なんてないでしょう?

 彼のことは誰よりも知っていると思っていた。幼い頃からの付き合いだから。で、だからこそ、彼を信じていた。彼は他の女に手を出すようなことはしない、そう思い込んでいた。

 だからこそショックだったし悲しかった。

 でももう戻れはしない。
 それは確かなことだ。

 ならば前を向こう。

 そして、未来を見つめるのだ。


 ◆


 ルロクルと終わった日から一年半が経ち、私は今、騎士の男性から愛されている。

 結婚はまだだ。
 しかし婚約は既に済ませている。

 どうしても婚約というものには嫌なイメージを抱いてしまっていて、それゆえ彼との婚約にもかなり躊躇していたのだけれど――そんな私を安心させてくれる彼だったので、段々心が変わり、結果婚約するに至った。

 ちなみにルロクルはというと、あの時の女性とは破局したそうだ。

 何でもあの女性はルロクルが婚約していたことは知らなかったそうで、その事実が明らかになった途端怒って彼の前から去っていったらしい。

 つまり、ルロクルは両方を失うこととなったのである。

 二人に同時に手を出していて、二人を同時に失った。
 ある意味世の常とも言えそうなものだが。
 彼は欲を出しすぎて、その結果、彼は何もかもを失うこととなったのである。

 ……もちろん評判も。

 以降、彼は誰からも相手にされなくなり、一人寂しく生きるしかない状態だとか。
 親しい女性ももちろんできず、彼は今、孤独に喘ぎながら絶望しているらしい。

 ま、そのくらいの罰は受けてくれ。

 絶望すればいい。
 心折れればいい。

 心ないことをされて傷ついた人間がいるのだ、彼もまた傷つけばいい。

 そうすれば少しは分かるだろう。
 心をないがしろにされる辛さというものが。


◆終わり◆
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