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3話
しおりを挟む周囲に迷惑ばかりかけて。
自己中心的なことばかりして。
それで、婚約破棄されれば泣くの?
泣きたいのは手を出された側だ。
――貴女は泣ける立場じゃないのよ。
内心そんなことを思いながら、号泣するルイーナを静かに見ていた。
◆
「がたん、ごとん、がたん、ごとん……ばちゃがとおりまーふ」
モードリットに婚約破棄された日から今日で三ヶ月。
ルイーナはもう完全にかつての人格を失ってしまった。
婚約破棄、捨てられた、その衝撃で彼女は徐々に壊れてゆき――幼児退行して――今ではおもちゃで遊ぶことしかできないような状態となってしまっている。
可憐な容姿はあれど、わがままながら勢いのあった彼女はもうこの世には存在しない。
「おにいた~ん、ここでなにをしてますか~? がたん、ごとん、ばちゃはこのまますすみまーしゅ」
◆
あれからどのくらい時が流れただろう。
もう分からないけれど。
でも私は、今年、ついに結婚する。
私の夫となってくれるのは、複数の工場の管理を仕事としている青年。
栗色のほんわりした髪が愛らしさを高めている――そんなところに魅力を感じる人である。
彼は心の広い人、滅多に怒らない。
そういうところに惹かれて、私は彼と生きることにした。
ルイーナに奪われたものはある。
でも私には残されているものだってあるのだ。
だから進む、未来へと。
◆終わり◆
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