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「来てくれたんだ」婚約破棄された後、橋の下で。~思えば彼はいつも優しく寄り添ってくれていた~
しおりを挟む「来てくれたんだ」
橋の下、彼の姿が見えて嬉しい。
寒い寒い冬の日のことだ。
「……ああ、来た」
先日婚約者の浮気について問い詰めて婚約破棄された私は、懐かしい人をそこへ呼んだ。
メッセージへの返答はそっけなくて。
来てくれないだろう、なんて思いながらも、ここへ来てみたのだが――正解だった。
彼は来てくれていたのだ。
「婚約破棄されたんだって?」
「うん」
「何やらかした」
「浮気について問い詰めたの、そしたら怒られて」
「……そういうやつか」
思えば、彼は今までもいつもそっけなかった。
でも優しかった。
私が困っている時や落ち込んでいる時にはそっと寄り添ってくれていた。
「婚約破棄までしなくてもって思ったのに……でもまぁ仕方ないか。私が黙ってられなかったのが悪かったんだよね」
言いかけて。
「いやそうじゃないだろ」
挟まれる。
「え」
「べつに、あんたは悪くないだろ」
いいのかな。
……私は悪くないって、そう思って。
◆終わり◆
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