婚約破棄? ああ、そういえば、昔されました。そんなこと、もうすっかり忘れていましたよ。

四季

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婚約破棄? ああ、そういえば、昔されました。そんなこと、もうすっかり忘れていましたよ。

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「お前みたいな上品でない女とはやっていけん! よって、婚約は破棄とする!」

 それは十年以上前の記憶だ。

 その日私は婚約破棄された。
 二つ年上の男性オレビーに。

「俺はな! もっと上品で忠実で素晴らしい人と結婚したいんだ!」

 その時の私は落ち込んでいた。
 でもそれもいつしか過去のこととなり。

 悲しみもいずれは――消えてしまうのだ。


 ◆


 私は今、夫と共にある。
 オレビーとの縁はあそこで切れてしまったが、それ以上に素晴らしい縁を私は手に入れることができたのだ。

「なあ! しりとりしようぜ!」
「ええ、いいわよ」

 ちなみに、夫はしりとりが大好きだ。

「そっちからにする?」
「ああ!」
「じゃ、どうぞ」
「よし! じゃあ――肉の塊!」

 今でもこうして定期的にしりとりをする。

「理不尽な人」
「時の狭間! な!」
「豆」
「面倒臭い! で!」
「いかだ」
「黙ってほしいのに黙ってくれないやつ!」
「何それ……ま、いいわ。じゃあ……月見」
「みりん――って、あっ!! やっちまった!!」

 ただ、彼はそこまで強くない。
 大抵彼が先にしりとりを終わらせてしまう。

「おしまい、ね」
「ううーっ……もう一回! もう一回やる!」

 ちなみにオレビーは、今はもうこの世にはいない。
 というのも、私と離れてから一年も経たないうちに亡くなってしまったのだ。

 死因はかっこつけて行ったお酒の一気飲みだったらしい。

「もう一回やらせてくれ! 頼む!」
「仕方ないわね、いいわよ」
「よっしゃあ!! きたぁっ!!」
「始めましょう」
「おっし! よろしく! 始めようぜ!」


◆終わり◆
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