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2話
「もう帰っても構いませんか」
「んん? どうしたんだい?」
「用があると仰るから来ましたが、実際には用は特になかったようなので、帰ります」
「あ。もしかしていじけているのかい?」
フランクは嬉しそうにマリネの身体を引き寄せながら、勝ち誇ったかのように笑みを浮かべる。
「勘違いのないよう念のため言っておくけど、マリネとは恋愛関係ではないよ。マリネが僕に惚れてしまっているだけのことなんだ。ね? マリネ」
「そうなんですぅー。婚約者さん、どーうーかー怒らないでください。そんなことで怒ったらー……小さい女に見えちゃいますよぅ?」
マリネはマリネで勝ち誇ったような顔。
何なんだ、この二人は。
「婚約者さんったら、もしかして、マリネが羨ましいんですかぁ? ごめんなさーい。マリネ、昔から異性に大事にされるタイプなんですぅー。だから気にしないでくださいねー」
そう言って、マリネは笑みを浮かべる。
一見純粋に見える笑み。でもそれは綺麗な笑みではない。黒いものが見える。笑みの奥に、黒く塗り潰された心が浮かび上がっている。
「苦労してきたんだね、マリネ」
「はい……。それはもう、周りの女性から嫌われてぇ……」
「女の嫉妬というやつかな?」
「そうかもですぅ……マリネ、愛され系だから……」
「それは辛いね。男の嫉妬もイタイけれども、女の嫉妬もかなり見苦しいね」
嫉妬なの?
そんな言葉で、深く考えず流してしまうの?
婚約者の目の前で別の異性といちゃいちゃする、そんなことが許されるのか。腕を絡め、身を寄せ合う。そんなことが普通に行われて問題ないことなのか。
この国では普通?
でも、だとしたら、私はこの国で生きてゆく自信がない。
文化の違いを受け入れる。それが大事なのは分かる。でも、だからといって、何でもかんでも許せるわけではない。文化の違いで何でも済ませる、それはさすがに問題だろう。文化なら何をしても良い、とは思えない。
「んん? どうしたんだい?」
「用があると仰るから来ましたが、実際には用は特になかったようなので、帰ります」
「あ。もしかしていじけているのかい?」
フランクは嬉しそうにマリネの身体を引き寄せながら、勝ち誇ったかのように笑みを浮かべる。
「勘違いのないよう念のため言っておくけど、マリネとは恋愛関係ではないよ。マリネが僕に惚れてしまっているだけのことなんだ。ね? マリネ」
「そうなんですぅー。婚約者さん、どーうーかー怒らないでください。そんなことで怒ったらー……小さい女に見えちゃいますよぅ?」
マリネはマリネで勝ち誇ったような顔。
何なんだ、この二人は。
「婚約者さんったら、もしかして、マリネが羨ましいんですかぁ? ごめんなさーい。マリネ、昔から異性に大事にされるタイプなんですぅー。だから気にしないでくださいねー」
そう言って、マリネは笑みを浮かべる。
一見純粋に見える笑み。でもそれは綺麗な笑みではない。黒いものが見える。笑みの奥に、黒く塗り潰された心が浮かび上がっている。
「苦労してきたんだね、マリネ」
「はい……。それはもう、周りの女性から嫌われてぇ……」
「女の嫉妬というやつかな?」
「そうかもですぅ……マリネ、愛され系だから……」
「それは辛いね。男の嫉妬もイタイけれども、女の嫉妬もかなり見苦しいね」
嫉妬なの?
そんな言葉で、深く考えず流してしまうの?
婚約者の目の前で別の異性といちゃいちゃする、そんなことが許されるのか。腕を絡め、身を寄せ合う。そんなことが普通に行われて問題ないことなのか。
この国では普通?
でも、だとしたら、私はこの国で生きてゆく自信がない。
文化の違いを受け入れる。それが大事なのは分かる。でも、だからといって、何でもかんでも許せるわけではない。文化の違いで何でも済ませる、それはさすがに問題だろう。文化なら何をしても良い、とは思えない。
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