私は好きでした。でも、彼は金目当てでした。

四季

文字の大きさ
1 / 1

私は好きでした。でも、彼は金目当てでした。

しおりを挟む
 ずっと好きだった。彼のことが。だから婚約者になれた時は嬉しかった。天にも昇る心地だった。だって、ずっと憧れていた人と一緒になれるんだもの。こんな幸せない、と思った。

 でも彼は私を見てはいなかった。

「悪いが婚約破棄させてくれ」
「え……」
「親しい彼女との生涯を諦められなくなったんだ。悪いな」
「そ、そんな……」

 告げられた時は、雷に打たれたみたいだった。

「君のことは元々好きでも何でもなかったんだ。やはり、心に嘘はつけない」
「ではどうして……? 私と婚約したのですか……?」
「金だよ。君の家に金があるから、君に惹かれた理由はそれだけだよ」
「そんな……」
「じゃあこれにて。ばいばい」

 私は抗えなかった。何か言葉を返す、説得する、その時間さえ与えられなくて。私はあっさりと捨てられてしまった。

 後に聞いた噂によると。

 彼は本当に愛していると言っていた女性と改めて婚約し、結婚へと話を進めることにしたらしい。だが、女性の兄は、女性を愛するあまりその話を受け入れられなくて。私の婚約者だった彼は、ある夜、女性の兄に襲われて重傷を負うこととなってしまったそうだ。

 何とか一命は取り留めたようだったが。
 それでも、もう二度と、女性と会うことはできなかったらしい。

 ちなみに私はというと、婚約破棄された数年後、親の知人が紹介してくれた青年と顔を合わせることとなった。最初は乗り気でなかったけれど、段々青年の素朴なところに魅力を感じるようになり。付き合いを経て、めでたく結ばれた。

 色々あったが、穏やかな幸せに満ちた人生だった。


◆終わり◆
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。

しげむろ ゆうき
恋愛
 男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない  そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった 全五話 ※ホラー無し

婚約者の私を見捨てたあなた、もう二度と関わらないので安心して下さい

神崎 ルナ
恋愛
第三王女ロクサーヌには婚約者がいた。騎士団でも有望株のナイシス・ガラット侯爵令息。その美貌もあって人気がある彼との婚約が決められたのは幼いとき。彼には他に優先する幼なじみがいたが、政略結婚だからある程度は仕方ない、と思っていた。だが、王宮が魔導師に襲われ、魔術により天井の一部がロクサーヌへ落ちてきたとき、彼が真っ先に助けに行ったのは幼馴染だという女性だった。その後もロクサーヌのことは見えていないのか、完全にスルーして彼女を抱きかかえて去って行くナイシス。  嘘でしょう。  その後ロクサーヌは一月、目が覚めなかった。  そして目覚めたとき、おとなしやかと言われていたロクサーヌの姿はどこにもなかった。 「ガラット侯爵令息とは婚約破棄? 当然でしょう。それとね私、力が欲しいの」  もう誰かが護ってくれるなんて思わない。  ロクサーヌは力をつけてひとりで生きていこうと誓った。  だがそこへクスコ辺境伯がロクサーヌへ求婚する。 「ぜひ辺境へ来て欲しい」  ※時代考証がゆるゆるですm(__)m ご注意くださいm(__)m  総合・恋愛ランキング1位(2025.8.4)hotランキング1位(2025.8.5)になりましたΣ(・ω・ノ)ノ  ありがとうございます<(_ _)>

婚約者の座は譲って差し上げます、お幸せに

四季
恋愛
婚約者が見知らぬ女性と寄り添い合って歩いているところを目撃してしまった。

【完結】私は死んだ。だからわたしは笑うことにした。

彩華(あやはな)
恋愛
最後に見たのは恋人の手をとる婚約者の姿。私はそれを見ながら階段から落ちた。 目を覚ましたわたしは変わった。見舞いにも来ない両親にー。婚約者にもー。わたしは私の為に彼らをやり込める。わたしは・・・私の為に、笑う。

お前は要らない、ですか。そうですか、分かりました。では私は去りますね。あ、私、こう見えても人気があるので、次の相手もすぐに見つかりますよ。

四季
恋愛
お前は要らない、ですか。 そうですか、分かりました。 では私は去りますね。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

好きな人ができたなら仕方ない、お別れしましょう

四季
恋愛
フルエリーゼとハインツは婚約者同士。 親同士は知り合いで、年が近いということもあってそこそこ親しくしていた。最初のうちは良かったのだ。 しかし、ハインツが段々、心ここに在らずのような目をするようになって……。

処理中です...