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前編

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 それは夕立が激しく降る日のことでした。
 私は婚約者ブルンスーナンに呼び出されたのです。

 そして告げられたのは。

「悪いな、お前との婚約はもう破棄するわ」

 そんな非情な言葉でした。

 すぐには理解できず。とても信じられなくて。でも彼の顔を見ていたら冗談でないということだけは分かってしまったので、胸が痛くなりました。

 だって、私たちは、しばらくの間ちゃんと婚約者同士だったのです。

 愛し合って始まった関係ではなくても。
 それでも同じ時間を共にしてきたのです。

「お前には飽きたんだ。ってことで、じゃあな。永遠にさらば」

 でもその時間は彼にとってはどうでもいいものだったのでしょう。

 私だけが特別を感じていた……。

 こうして私たちの関係は終わりました。
 別れの時が来てしまったのでした。
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