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後編

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 砂糖の入った甘い紅茶をお菓子気分で楽しむのも、何も入れていないハーブティーで香りと落ち着いた味を楽しむのも、どちらも良いですね。

 そんなある日、この国の王の子であるエリリという男性から「お茶を飲むのが好きだと聞いて。よければ一緒に楽しんでいただけないでしょうか?」と言われ、戸惑いつつも彼とお茶をすることになりました。

 最初は緊張しましたよ。
 相手は王子ですから。

 けれども、お茶を楽しむうちに、次第に打ち解けてゆきました。

「貴女みたいなお茶に詳しい方に会うのは初めてです。その……嬉しいですね、共通の趣味、みたいで。よければまたご一緒させてください」

 そうして彼との仲は深まってゆきます。


 ◆


 あれから数年、私はエリリ王子と結婚することとなりました。

 意外な展開ではありました。
 けれども私たちは出会って間もない頃から気があっていたので、結婚するとなっても、きっと上手くいくような気がしていました。

 そしてその予感は正解でした。

 私とエリリ王子はとても良い関係を築けています。

 そういえば、アドレは、酒で失敗して社会的に死ぬこととなったそうです。
 で、批判に晒されたことで心を病み、今は自宅で親に面倒をみてもらって療養しているそうです。
 が、親への感謝はなく。
 それどころか一日に何回も「生みやがって」などと言って親を責めているそうです。

 酷いものですね。


◆終わり◆
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