視界の端で透き通る髪が揺れた

四季

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視界の端で透き通る髪が揺れた

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視界の端で透き通る髪が揺れた
誰だったのだろう
きっと知らない人だ
けれども美しい髪を目にするたびに
かつて愛した人のことを思い出す
愛おしかった人
美しかった人
僕がただ一人愛していた彼女の姿を
ふとした瞬間に思い出す

彼女との別れは突然だった

婚約破棄
終焉は唐突に

家と家の事情でそうなるしかなかったんだ

だから仕方ない
どうしようもなかった
彼女も
僕も
それは何もかもの定めで
それに逆らうことなどできはしなかった

それでも未練はあるよ

だって今も彼女を愛しているから

それでも切なく思うよ

だって今も彼女を想っているから

運命だから
宿命だから
仕方ない
どうしようもないから

そう思ってはいても

諦めるのは
まだ
どうしても
少し難しいんだ

視界の端で透き通る髪が揺れた
誰だったのだろう
きっと知らない人だ
けれども美しい髪を目にするたびに
かつて愛した人のことを思い出す
愛おしかった人
美しかった人
僕がただ一人愛していた彼女の姿を
ふとした瞬間に思い出す

それはまるで過去の愛のよう

視界の端で透き通る髪が揺れた
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