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2話

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「マーチス様」

 屋敷で働く一人の女性がやって来た。

「なんだ雑魚」
「エメリア様はそのようなことはなさっていません。マーチス様はお母様に騙されています」

 女性ははっきりと言ってくれた。
 私の味方をしてくれるようだ。

「むしろ逆なのです。マーチス様のお母様がエメリア様を虐めている——それが真実です」
「はぁ? わけが分からんことを言うな」
「貴方はお母様のことを信じ過ぎているのです」
「う、うるせぇ! 黙れ雑魚!!」

 女性は溜め息をついて、それから私の方を見る。

「間違いありませんね? エメリア様」
「あ……は、はい。ありがとうございます」
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