上 下
1 / 2

前編

しおりを挟む
 海外との取引を生業としている家に生まれた私は、遠い親戚の人の紹介でボーデンという青年と婚約した。

 しかし。

「おめぇとの婚約、破棄な!」

 今日、突然そんなことを言われてしまった。

 聞いた瞬間は「なんて?」と言いそうになった。幸い実際に発するところまではいかなかったのだが。とはいえ、婚約を破棄されたことは変わらない事実。

 でも私は気にしないことにした。

 ボーデンが私といたくないのなら、私だって同じ思い。
 私だけが彼を強く欲しているわけではない。

 だから私は婚約破棄を受け入れた。

「分かりました。ではさようなら」

 さて、実家にでも帰るか。
しおりを挟む

処理中です...