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後編

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 ◆


 あたしをがさつだと言って捨てた彼なんだけど、あの後二ヶ月くらいが経ったある時清楚で理想的な女性に出会って惚れるも心ない言葉を大量に浴びせられたうえ厳しく拒否されて失恋したんだって。

 で、それによって、彼の心は完全にぽっきりと折れてしまったみたいで。

 それからというもの、彼はいろんな意味で自信をなくし、自室にこもって生活するようになってしまったそうだよ。

 簡単に言えば……引きこもり、って感じかな。

 彼はもう女性と喋ることなんてできない。
 それどころか女性以外の人間ともほとんどコミュニケーションなんて取れない。

 ……そんな状態なんだって。

 可哀想にね。
 でも自業自得だよ。

 だってそれが彼の選んだ道なんだもん!

 あたしは関係ないよ。


 ◆


 婚約破棄から二年四ヶ月。
 あたしは親戚の紹介から良き縁に恵まれ、結果、幸せな結婚をすることができたんだ。

 ――やったね!

 夫となった彼はかえるみたいな顔立ちの男性なんだけど、とっても善良で思いやりのある人なんだ。
 彼は昔、婚約者から「顔がちょっと、やっぱり無理」って言われて、一方的に婚約破棄されたことがあるみたい。その時は大変傷ついたみたいだけど、でも、それを乗り越えて今の彼が存在しているんだ。

 きっと、傷ついたことがあるからこそ、他者に優しくできるんだよね!

 素晴らしいことだなぁ、って思うよ。

 そんな彼とならきっと前向きに生きていける、そう思うんだ。
 たとえ辛いことがあっても、嵐に見舞われても、それでもきっと大丈夫――彼とであればどんな大波だって共に乗り越えてゆけるはずだよ。

 彼に出会えて、本当に良かった!

 これからも感謝を忘れずに生きていく、そう誓うよ。


◆終わり◆
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