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3話

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 ◆


「「「エリザベータ様! ご結婚おめでとうございますー!」」」

 ガローデベルンとの婚約の破棄から何年が経ったか定かでない。

 ただ、私は幸せを手に入れた。

 ある国の王子より一目惚れされ声をかけられて。
 それで結婚を望まれた。

 そうして私は王子の妻という位に収まることとなった。

 もっとも、こんなことになるなんて少しも想像してはいなかったのだけれど。

「ああ、本当にお美しい方ね」
「素晴らしいわ」
「王家に相応しいお方ね。慎ましい雰囲気があられるところも素敵」

 ただ、今は夫なども含め多くの人たちから愛されているので、それだけで十分幸せだ。

 愛されて称賛されて、そうやって生きてゆく――こんな幸せな人生は滅多にない、と、私はそう思っている。

「エリザベータさん、貴方が僕のもとへ来てくださったことに感謝しています」
「こちらこそ……選んでいただきまして」
「いいや、礼を言うべきは僕の方だよ。当然だよね? だって結婚してほしいと頼んだのはこっちなのだから。……ありがとう、本当に。心から感謝を」

 ちなみにガローデベルンはというと、あの後実家の裏山にて落石事故に巻き込まれ一人寂しく即死したそうだ。


◆終わり◆
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