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1話
しおりを挟む私が婚約している王子ビトログリオッツ・フォン・エーミールベルは子どものようなわがままをたびたび言う人である。
欲しいものがあれば寝転がって「欲しい欲しい欲しい、欲しいのーっ」などと叫びつつ四肢をじたばたさせる。
嫌いな人と顔を合わせれば「大嫌い! 絶交な!」などと平気で言い放つ。
料理に嫌いな野菜が入っていれば大勢の前であっても絶対に食べずこっそり残すでもなく「これ嫌い! だいっきらい! だって不味いもん。入れないでって前も言ったよね!? シェフ呼んでよ、叱るから!」などと大声で発する。
――そんなどうしようもない人だ、ビトログリオッツは。
皆そのことは知っている。
でも見て見ぬふりをしている。
彼が王子だから。
そして、その行動に対して何か言えば激怒されたり罰を与えられたりする可能性が高いから。
「シェーレ、ちょっといいかな」
ビトログリオッツが声をかけてくる。
嫌な予感しかしない。
「はい。何でしょうか」
「昨日さ、男と喋ってたよね」
「ええと……陛下ですよね? 貴方のお父様の」
言えば。
「最低! 裏切り者!」
彼はそんなことを叫ぶ。
「もう、婚約破棄だよ!」
「どうしてです」
「僕以外の男とは絶対喋らないでって、一言もって、前に言ったよね!?」
「陛下は例外では」
「男だよ!!」
えええーっ……。
「父だって男! だからアウト!」
一生牢屋にでも閉じ込めておきたい感じ?
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