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海を渡る?
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サーシャ様は母上のことを一切知りませんでした。
しかし、パークさんから母上の名前を教えてもらい、それを自分の心に刻みました。
「それで、これから何処へ行くのかね?もし行き先がないのなら、フェイトフル・リアルムで面倒をみても構わんぞ。」
パークさんからの提案に僕は是非とも乗っかりたいと思いましたが、すかさずシエルさんが、ぶち壊します。
「私たちはキリエスに行くの。」
「キリエス!?いったい何をしに、あんな危険な所に行くつもりだ?」
するとシエルさんは、パークさんに小声で魔法の穴の説明をしました。
「な、なんと、例の穴がそんな所にあるというのか……では、尚更行くのは止めるのだ。」
「どうして?」
「当然だ。今やキリエスという国は謎だらけの国家だぞ。しかも何が起こるか分からない、魔法の穴まで存在するとなれば、君らだけでは危険極まりない。行くのであれば、それ相応の準備がいるだろ。」
僕もパークさんに大賛成です。魔法の穴は見たいですが、不安しかありませんからね。
「もし行くとするなら、まずは自身のレベルアップに務めてかの方がよいのではないか?それに三人では心許なさすぎるだろ。せめてあと数名は手練れの者が要る。しかし、残念なことに私では、そんな優れた兵士は用意できない……考え直すのだ。」
「うーん……やっぱ、そうかな。」
おっ!シエルさんも迷っている様子。
ここは、僕がとどめを刺すしかない。
「シエルさん。止めときましょう。また次の機会にしましょう。」
「えー、どうしようかな。じゃあとりあえず行くのを止めるとして、どうするの?」
そんなことは僕が知る訳ありません。
それは、サーシャ様もきっと同じです。
「では私から提案がある。」
パークさんの一言に僕たちは注目しました。
「一旦、修行も兼ねた旅に出てはどうだ。」
旅といわれても、これまでもずっと旅をしてきました。それに、今一番旅をして経験値を得られそうなのは、やはりキリエスになってしまいます。
「ギアン大陸へ行ってみないか?」
パークさんの提案に僕たちは気付かされました。
その手があったか、と。
「ギアン大陸……いいかも。まだ行ったことがないし、魔法剣の腕を上げるチャンスかも。」
サーシャ様が乗り気なら僕も構いませんよ。というよりキリエス行きでなければどこでも良いです。
レト大陸ではサーシャ様は常にキリエスに狙われていますからね、その点ギアン大陸には僕たちを知る者といえば、ローラスくらいですからね。
これは、いいチョイスかもしれません。
「シエルさんは、どうします?」
「私も行くに決まってるでしょ。久しぶりにギアンの友達にも会いたいから。そういうことだから、ピート君、世話になるぞ。」
これで決まりですね。
キリエスに行くと決まってからは若干憂鬱な気分が抜けませんでしたが、今はすっきり爽快です。
「ついでに頼みがある。ギアンで、もし我が弟子に会ったら宜しく伝えて欲しい。」
パークさんにも弟子がおられるのですね。
それくらいは容易い事です。
「その、お弟子さんはギアンの何処に居られるのですか?」
「いや、それがな分からんのだ。消息不明でな、ワハハハ。」
それでは探しようもありませんね。偶然に会ったら宜しく伝えておきましょう。
「それで何て人なの?」
おお!それですサーシャ様。名前を聞いておかなければ会っても分かりません。いつから、そんなに気が利くようになったのでしょう。
そんな、僕の心の内を読むように、鋭い睨みを受けましたが、僕は無視しておきました。
「――レジェスだ。」
その名前は確か、パラドール・ジグマのところで聞いた名です。
パークさんの弟子でしたか。
「ああ、あの坊やね。」
「なんだシエルも知っていたのか。」
「知ってる知ってる。だってうちのパパの弟子だったから。」
「なんと!?エルフの王、ミュラー公の弟子になっとったか。これは、珍しいな。あの人間嫌いで有名なミュラー公が人の子を弟子にとるとは。」
「そうよね。でも、あの子は特別だったみたいだよ。まあ、すぐにどっか行っちゃったけど。」
パークさんの弟子であり、シエルさんの父上の弟子である、レジェス。なかなか、とんでもない人のようですね。
「しかし、いったい何人の師匠がいるんですか、そのレジェスって方は。」
僕の質問にパークさんは目を丸めて驚いています。
何か、おかしな事でも言いましたかね、僕は?
「何を他人事のように言っておるのだ。ピート、そなたの弟子でもあるだろう。」
この時、僕の中で全てが繋がりました。
――あの子だ!
パラドール・ジグマの家で見せてもらったレジェスの人相書き。やはり見覚えがありました。ずいぶん大人になっていたので気づきませんでしたが、言われてみれば、確かに彼です。
「最初はな私がとある理由で、あいつを弟子にとった。その後、我々はレト大陸へと渡ることになってな。私は追われる身だったから、レジェスを別の者に預けようと考えいた。その矢先、ちょうど君が現れたのだ。私は密かに成り行きを見守り、その場を離れた。」
なんと、あの場所にパークさんが居たのですか。何だか嵌められたようで複雑な気分です。
だけど、彼と――レジェスと出会えたことは僕にとって、かけがえのない出来ごとになったのは事実です。
僕自身も彼ともう一度会いたいと強く思っていました。
きっと僕の想像を遥かに越えるほど強くなっていることでしょう。
「ああ、そういえば君が昔、レジェスに変な名をつけたとかで、ずいぶん怒っていたぞ。殺されんようにな。」
やっぱり会わなくてもいいかもしれませんね。
彼ならやりかねないような気がします。
「船の手配は任せておけ。くれぐれも気をつけて行くのだぞ。」
パークさん――いや、ゼロさんの計らいで僕たちは、苦労なくギアン大陸に行けそうですね。
何が待ち受けているかは分かりませんが、楽しみですね。
「それじゃあ、私たちは行きます。」
「バイバーイ。」
「どうもお世話ににりました。」
こうして僕たち三人はギアン大陸へ向かう為に港へと旅立ったのでした。
しかし、パークさんから母上の名前を教えてもらい、それを自分の心に刻みました。
「それで、これから何処へ行くのかね?もし行き先がないのなら、フェイトフル・リアルムで面倒をみても構わんぞ。」
パークさんからの提案に僕は是非とも乗っかりたいと思いましたが、すかさずシエルさんが、ぶち壊します。
「私たちはキリエスに行くの。」
「キリエス!?いったい何をしに、あんな危険な所に行くつもりだ?」
するとシエルさんは、パークさんに小声で魔法の穴の説明をしました。
「な、なんと、例の穴がそんな所にあるというのか……では、尚更行くのは止めるのだ。」
「どうして?」
「当然だ。今やキリエスという国は謎だらけの国家だぞ。しかも何が起こるか分からない、魔法の穴まで存在するとなれば、君らだけでは危険極まりない。行くのであれば、それ相応の準備がいるだろ。」
僕もパークさんに大賛成です。魔法の穴は見たいですが、不安しかありませんからね。
「もし行くとするなら、まずは自身のレベルアップに務めてかの方がよいのではないか?それに三人では心許なさすぎるだろ。せめてあと数名は手練れの者が要る。しかし、残念なことに私では、そんな優れた兵士は用意できない……考え直すのだ。」
「うーん……やっぱ、そうかな。」
おっ!シエルさんも迷っている様子。
ここは、僕がとどめを刺すしかない。
「シエルさん。止めときましょう。また次の機会にしましょう。」
「えー、どうしようかな。じゃあとりあえず行くのを止めるとして、どうするの?」
そんなことは僕が知る訳ありません。
それは、サーシャ様もきっと同じです。
「では私から提案がある。」
パークさんの一言に僕たちは注目しました。
「一旦、修行も兼ねた旅に出てはどうだ。」
旅といわれても、これまでもずっと旅をしてきました。それに、今一番旅をして経験値を得られそうなのは、やはりキリエスになってしまいます。
「ギアン大陸へ行ってみないか?」
パークさんの提案に僕たちは気付かされました。
その手があったか、と。
「ギアン大陸……いいかも。まだ行ったことがないし、魔法剣の腕を上げるチャンスかも。」
サーシャ様が乗り気なら僕も構いませんよ。というよりキリエス行きでなければどこでも良いです。
レト大陸ではサーシャ様は常にキリエスに狙われていますからね、その点ギアン大陸には僕たちを知る者といえば、ローラスくらいですからね。
これは、いいチョイスかもしれません。
「シエルさんは、どうします?」
「私も行くに決まってるでしょ。久しぶりにギアンの友達にも会いたいから。そういうことだから、ピート君、世話になるぞ。」
これで決まりですね。
キリエスに行くと決まってからは若干憂鬱な気分が抜けませんでしたが、今はすっきり爽快です。
「ついでに頼みがある。ギアンで、もし我が弟子に会ったら宜しく伝えて欲しい。」
パークさんにも弟子がおられるのですね。
それくらいは容易い事です。
「その、お弟子さんはギアンの何処に居られるのですか?」
「いや、それがな分からんのだ。消息不明でな、ワハハハ。」
それでは探しようもありませんね。偶然に会ったら宜しく伝えておきましょう。
「それで何て人なの?」
おお!それですサーシャ様。名前を聞いておかなければ会っても分かりません。いつから、そんなに気が利くようになったのでしょう。
そんな、僕の心の内を読むように、鋭い睨みを受けましたが、僕は無視しておきました。
「――レジェスだ。」
その名前は確か、パラドール・ジグマのところで聞いた名です。
パークさんの弟子でしたか。
「ああ、あの坊やね。」
「なんだシエルも知っていたのか。」
「知ってる知ってる。だってうちのパパの弟子だったから。」
「なんと!?エルフの王、ミュラー公の弟子になっとったか。これは、珍しいな。あの人間嫌いで有名なミュラー公が人の子を弟子にとるとは。」
「そうよね。でも、あの子は特別だったみたいだよ。まあ、すぐにどっか行っちゃったけど。」
パークさんの弟子であり、シエルさんの父上の弟子である、レジェス。なかなか、とんでもない人のようですね。
「しかし、いったい何人の師匠がいるんですか、そのレジェスって方は。」
僕の質問にパークさんは目を丸めて驚いています。
何か、おかしな事でも言いましたかね、僕は?
「何を他人事のように言っておるのだ。ピート、そなたの弟子でもあるだろう。」
この時、僕の中で全てが繋がりました。
――あの子だ!
パラドール・ジグマの家で見せてもらったレジェスの人相書き。やはり見覚えがありました。ずいぶん大人になっていたので気づきませんでしたが、言われてみれば、確かに彼です。
「最初はな私がとある理由で、あいつを弟子にとった。その後、我々はレト大陸へと渡ることになってな。私は追われる身だったから、レジェスを別の者に預けようと考えいた。その矢先、ちょうど君が現れたのだ。私は密かに成り行きを見守り、その場を離れた。」
なんと、あの場所にパークさんが居たのですか。何だか嵌められたようで複雑な気分です。
だけど、彼と――レジェスと出会えたことは僕にとって、かけがえのない出来ごとになったのは事実です。
僕自身も彼ともう一度会いたいと強く思っていました。
きっと僕の想像を遥かに越えるほど強くなっていることでしょう。
「ああ、そういえば君が昔、レジェスに変な名をつけたとかで、ずいぶん怒っていたぞ。殺されんようにな。」
やっぱり会わなくてもいいかもしれませんね。
彼ならやりかねないような気がします。
「船の手配は任せておけ。くれぐれも気をつけて行くのだぞ。」
パークさん――いや、ゼロさんの計らいで僕たちは、苦労なくギアン大陸に行けそうですね。
何が待ち受けているかは分かりませんが、楽しみですね。
「それじゃあ、私たちは行きます。」
「バイバーイ。」
「どうもお世話ににりました。」
こうして僕たち三人はギアン大陸へ向かう為に港へと旅立ったのでした。
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