最強の女戦士ここにあり

田仲真尋

文字の大きさ
125 / 132

レジェスVSモルドス~第三章~

しおりを挟む
追い詰められたモルドスに突如として現れたのはフルガイアの民の能力でした。

しかもそれはディミトリさんやサーシャ様と同じように瞳に変化をもたらしました。

その能力の内容は不明ですが、もしもパープルアイズと同等の力が有るとすれば、これはとんでもない事態です。


「み、見える。これが世界か――美しい。」


モルドスは生まれつき目が見えなかったということでしたので、これが初めて見る世界でのはずです。

というより視覚が戻っているということに驚きしかありません。

だが、きっと今ならまだ目が見えるということに違和感を感じているはず。

やるなら今ですよ、レジェス。


「これは非常にまずいかもしれん。」


ディミトリさんの言葉に皆が即座に反応を示しました。


「どういうことよ、お父さん。」


「モルドスは生まれついての盲目だと言っていたが、それはもしかして、あの目の為のものだったのではないだろうか、ということだ。つまり盲目も含めてモルドスの能力なのではないだろうか。」


僕にはディミトリさんが何を言いたいのか分かりませんでした。

しかしサーシャ様はなにかピン!とくるものがあったようです。


「普段は力を抑えられていたということね。それだけ、あのゴールドアイズがやばいものってことよね。」


サーシャ様の考えでようやく僕にも少し分かったような気がしました。

つまりモルドスの本当の力の封印が解けた、ということでしょう。

それってかなりやばいのではないでしょうか。


「もはや我は無敵だ。最強の戦士よどこからでもかかって来い。」


「準備は整ったようだな。では遠慮なく。」


レジェスはこれまでと同様に凄まじい攻撃を時折フェイントを交えながら猛攻をしかけていきました。

モルドスはそれを何とか避けているように見えました。

ところが、よくよく観察してみると、どうもモルドスの動きがさっきとは明らかに違うことに気づきました。

先ほどまでは一杯一杯で防いでいましたが、今は違います。

どこか余裕があり優雅にレジェスの攻撃を避けているようにさ見えます。


「なるほど。段違いに私の攻撃をかわしている。ならば――!」


レジェスは攻撃の速度を上げ、残像を残す程のスピードでモルドスを攻め立てていきます。

その攻撃はもはや人ならざる者の動き。


「ここで、ウォーターボア!」


レジェスは不意を突く魔法攻撃に切り替えました。

巨大な水の猪がモルドスへと突進していきます。


「ふん!」


しかしそれをモルドスはパンチ一発で吹き飛ばします。

水滴がまるで雨の様に降り注ぎ綺麗な虹が架かりました。


「かかったな。」


レジェスはニヤリと笑みを浮かべ、「レインボーニードル!」と魔法を唱えました。

するとその虹は七色の針へと姿を変えモルドスを襲いました。

まさかあの虹までもが攻撃魔法だとは気づきませんでした。


「そう来ることは分かっておった!」


その時、モルドスは既にもう一発パンチを放ち終えた後でした。

そのためレジェスの魔法はモルドスに届くより早く消滅していました。


「今のを読めるとは、やるではないか。」


これにはさすがのレジェスも認めざるを得ないようです。


「だが次は少し難しいぞ。」


なんだかレジェスは楽しそうにしています。

本当に戦うことが好きなのですね。

僕には全く理解できませんがね。


「ホーリー・ウイング・ソード!」


レジェスは自身の剣からそっと手を離しました。

すると剣の束の部分から両脇に美しい白い翼が生えてきました。

翼は宙に留まったまま停止しています。

しかし次の瞬間、翼はゆっくりと翼を広げました。

そして僕が瞬きをする一瞬の間にその場から消えてしまいました。

剣の行方を追おうと辺りを見回してみます。

すると翼はまるでワープしたかのようにモルドスの元へ。

なんという速度でしょうか。

あれはレジェスの魔法剣と見て間違いないでしょう。

あんなものを避けることなど不可能です――普通に考えれば。

ですが……モルドスはそれすらも凌駕していました。

一度失くした左腕の手中にはレジェスの剣ががっちりと握られているではありませんか。


「これをも止めてしまうとは。これは困った。」


レジェスにとってもこれは誤算だったのかもしれません。


「全然、困った顔には見えぬがな。」


モルドスは掴んだレジェスの剣に力を込めて粉々に砕いてしまいました。

レジェスには魔法剣を発動するための媒体が無くなってしまいました。

何でもいいので何とか剣を渡さなければ――。

そう考えていた時でした。


「イリュージョンソード!」


レジェスの手にいつの間にか新たな剣がありました。

あれは魔法剣です。

何の媒体もなく魔法剣を使えてしまうなんて、もはや僕の想像を遥かに越えた魔法剣士ではないですか。


「タイプチェンジ――。」


レジェスはその剣を天に向けました。


「雷よ――。」


レジェスは何かの魔法を唱えた模様です。

すると空から青光と共に稲妻がレジェスの剣へと降り注いだではありませんか。

そして、その稲妻は完全にレジェスの剣へと収まりました。

するとレジェスの剣の形状に変化ありです。

まるでそのまま稲妻を型どったような刃へと変貌を遂げています。


「――ダブル。」


更にその剣がまるで分身でもしたように、またしても二本に増えました。

さすがにもう僕も何が起きても驚きませんよ。

レジェスの底は計り知れません。


「さあ、続けよう。」





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます

天宮有
恋愛
私アリザは平民から側妃となり、国王ルグドに利用されていた。 王妃のシェムを愛しているルグドは、私を酷使する。 影で城の人達から「愚かな側妃」と蔑まれていることを知り、全てがどうでもよくなっていた。 私は我慢することをやめてルグドを助けず、愚かな側妃として生きます。

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―

望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」 【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。 そして、それに返したオリービアの一言は、 「あらあら、まぁ」 の六文字だった。  屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。 ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて…… ※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

教養が足りない、ですって

たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

処理中です...